コロナでも上州2。からっ風に吹かれて歩いた群馬 2泊3日の湯めぐり旅 28 - 積善館⑩ 佳松亭「猩々」で、至福の晩ごはん (2023年1月17日/2日め)
2023年1月17日 積善館・佳松亭「猩々」で。キンキを煎り酒でいただきました。(群馬県吾妻郡中之条町)
1月17日(火)
さて、いよいよ、
楽しみにしていた夕食です。^^
3つの建物がある積善館ですが、
湯治棟である「本館」では、
当初は、湯治客が自炊していたそうです。
(現在はできません。)
現在は、素朴でありながらも滋味豊かな献立を、
「積善弁当」というお弁当形式でいただきます。
(ご飯と上州麦豚こしね汁はお替わり自由。)
積善弁当の例。(画像をお借りしました)
そして「山荘」と「佳松亭」では、
四季を鮮やかに映す会席料理が饗されます。
素材の持つ美味しさと旬を大切にするため、
「和食」にこだわっているそうです。
佳松亭での食事はお部屋食。
または、専用個室でいただきます。
そして山荘に宿泊した場合、お食事は、
佳松亭5階のラウンジ「猩々(しょうじょう)」
でいただきます。
私たちがチェックインしたときに、
ウェルカムティーをいただいたところです。
【猩々】
古典書物に記された架空の動物です。能の演目である五番目物の曲名『猩猩』が有名です。中国の海棲の精霊と言う設定の猩猩(後シテ)が、真っ赤な能装束で着飾り、酒に浮かれながら舞い謡います。本来は中国の古典書物で、人語をあやつる、または解する獣とされています。
『本草綱目』(1596年)では、猩猩は中国属州交趾郡(ベトナム)産の野獣とし(現代訳ではオランウータン種に同定)、人面獣身で、地毛は黄色である等と書いてあります。
能で舞い謡う、猩猩です。(画像をお借りしました)
山の中のラウンジですから、
サルもいるのでしょう。
そこを、
「猩々(オランウータン)」
と名づけるとは、格調高いですね。^^
(ちなみにMIYOは、「猩々」ということばを、
ここに来て初めて知りました。😅)
ラウンジ「猩々」に到着しました。ここは一般のレストランではなく、佳松亭・山荘に宿泊する人がチェックインやお食事のときに利用するラウンジです。そのすばらしい内装は、現代建築を取り入れながらも、桃山様式の組子細工を再利用・復元し、今に活かしたものです。
入口の組子細工の向こう側にある、一番奥の窓際の席に案内していただきました。(画像をお借りしました)
私たちの席からラウンジ内部を眺めた写真です。お客さんの半数以上は、外国人でした。(この写真は翌朝撮ったものですが、あらかじめ席が決められているようで、夕食も朝食も、全員が同じテーブルについていました。)
席についた私たちに対応してくださったのは、
ベトナム人のファウミンさんでした。^^
ついさっき、チェックインのときにお世話になった方です。^^
「チェックインだけじゃなくて、
レストランも担当されているんですね。笑」
と、再会できたことを喜び合いました。^^
この日のメニューです。全11品。
箸染めと前菜の盛り合わせ
桜の花の小枝が添えられていました。
箸染め(上2品):花耶菜(はなやな)と烏賊糀、羽二重
*花耶菜とは、ブロッコリーのことだそうです。
前菜の盛り合わせ(7品):筍の松前寄せ、そら豆、海老の琥珀寄せ、烏賊のウニ焼き、抹茶茶巾、菜の花の太巻き、菊芋の松風焼き
どれも、とてもおいしかったのですが、
なにより驚いたのは、
これらのメニューのひとつひとつを、
ベトナム人のファウミンさんが
よどみなく説明したことでした。😅
日本語の、それも、
耳慣れない名前ばかりなのに、すごい。^^
MIYOは、必死でメモをとったのですが、
それでも追いつかず、しばしば、
「えっとこれは、なんでしたっけ。
もう一度言っていただけますか。」
などと繰り返しておりました。笑
お酒は、群馬地酒飲み比べセット(4300円)をいただきました。
水芭蕉、聖徳、谷川岳です。
チェックインのときにいただいた、愛郷ぐんま全国割クーポン(ふたりで4000ポイント)を利用したので、実質300円ですみました。アプリにポイントをチャージするのがちょっとおっくうだったけど、やってみれば案外簡単だったし、利用できてよかったです。^^
白子豆腐
(中もふんわりとしています。梅のジュレとともにいただきました。)
御椀と造里
*造里には、土佐醤油と煎り酒が添えられていました。
御椀:吉次 柚子
*キンキと柚子のお吸い物をかつおだしでいただきました。
造里:甘海老、きんめ、中トロ、イワナ
*土佐醤油と煎り酒でいただきました。
初めて煎り酒でお刺身をいただいたのは2年前。田中本家博物館の江戸時代料理再現食事会でのことでした。「江戸時代、お刺身は煎り酒でいただいていた」「お醤油は魚の味を殺す」ということを教わりました。とてもおいしかったので、博物館の売店で買って帰りました。^^(2021年3月27日 長野県須坂市)
優しい味の「煎り酒」は、
白身魚のお刺身にとても合うのですが、
これまでに、田中本家以外の場所で、
煎り酒を供されたことはありません。
さすが、積善館。^^
なつかしい煎り酒で、キンメの美しいお造りをいただきました。絶品です。
「煎り酒は、ウチにもありますよ。^^」
と言うと、
「え? 煎り酒をご存じなんですか?」
と、ファウミンさんが驚いていました。
いえいえ。
ベトナム人なのに、煎り酒を知っている、
ファウミンさんの方が、びっくりです。笑
蓋物
百合根万十
*カニ、白身魚が入っています。…というか、「カニ万十」と言ってもいいくらい、カニがたくさん入っていました。
焼き物:銀鱈の西京焼き
*ふきのとうの天ぷら、アラの煮こごり(酢味噌添え)とともに。
合肴の器もすてきです。^^
合肴:甘鯛と白子の焼きびたし
食事:コシヒカリ、赤出汁、香の物
台物も食べごろです。
台物:上州和牛 すき焼き
水物:季節の果子
レモングラスゼリー(シャインマスカット、洋なし、メロン、いちごと共に)
柿羊羹(一年間漬け込んだ柚子を添えて)
*水物には、ゼラチンを使っていないそうです。
渾身のお料理の数々は、どれもおいしくて、
驚いたり、感動したり…。
すばらしいお食事でした。
(つづく)