コロナでも雛旅。古(いにしえ)の雛を訪ねる、4泊5日の長野・岐阜・愛知 18 - 豪商の花嫁 伝来の婚礼衣裳(2021年3月27日/2日め)
2021年3月27日 祝着 藤紫 平絹地ぼかし染 羽衣模様(長野県須坂市・田中本家博物館 )
3月27日
田中本家博物館の、
一番最後に展示されているのが、
着物です。
黒龍紋地桐鳳凰模様打掛(江戸後期)背面 復元写真田中本家所蔵の婚礼衣装の中で最も古いものです。漆黒の打掛に、桐と鳳凰が刺繍で描かれています。鳳凰は雌雄一対で描かれ、夫婦を象徴しています。今から180年前に、花嫁の幸せを願って描かれた模様です。
*着物の劣化を防ぐため、現在は非公開となっていて、特殊なスキャナーで取り込んだ画像が展示されています。
衣裳は、空気に触れるだけで生地が劣化し、
光によって色褪せてしまう、
大変デリケートな芸術品です。
作品を保護するため、
非公開とされているものも多いようです。
が、2013年9月~12月に、
開館20年記念特別企画展
「豪商の花嫁 伝来の婚礼衣裳」
にて、田中本家代々の婚礼衣裳を
一同に展示したことがあったそうです。
(わあ~、見たかったなあ~。笑)
以下のふたつの写真は、
その折りに展示された婚礼衣装です。
黒龍紋地桐鳳凰模様打掛(江戸後期)(画像をお借りしました)
上の着物の、実物の写真です。素晴らしい色合いですね。
松竹梅鶴亀模様打掛(江戸後期)(画像をお借りしました)
私たちが訪れた日は、一点だけでしたが、
花嫁衣装が展示されていました。
それは、7代当主力之助さんの長女である、
田中田鶴さんのものでした。
田中田鶴さんと9代新十郎さんの婚礼の披露は一ヶ月にも及び、1000名余りの人々が招待されました。結婚式で使われた花嫁衣装は50点以上にのぼりましたが、そのすべてが、完全な形で保存されていました。
田中田鶴さんの花嫁衣裳です。
婚礼衣装以外にも、
多数の着物が展示されていました。
奥の黒留は、裾に繊細な刺繍模様がほどこされています。
子どもの着物もたくさん展示されています。
美しい色が今も残されていました。
明治27年2月、7代当主力之助さんの長女として生まれた、田鶴さんの幼少期の着物です。人形や玩具、髪飾り、小物なども、大切に保存されていました。
祝着 藤紫 平絹地ぼかし染 羽衣模様
振袖 染分縮緬地 桜貝合わせ模様
明治時代が、
そう遠くないところにあるような、
そんな気持ちになる場所でした。
(つづく)