ベトナム・カンボジアを歩いた14日間 51 - アンコールトム④ バイヨン・第一回廊(水上戦とワニに食べられる戦死者)(2024年1月17日/6日め)
2024年1月17日 バイヨン・第一回廊で。(カンボジア・シェムリアップ)
1月17日(日)- 6日め
アンコールトムのバイヨンで、
第一回廊を歩いています。
アンコールワットからここまで、こんなふうに移動しています。
バイヨンには二重の回廊があり、
外側の第1回廊の大きさは、
東西に160m、南北に140m、
内側の第二回廊は、
東西に80m、南北に70mを誇ります。
第一回廊の壁面には、
当時の庶民の生活と風俗、
隣国チャンパ軍との激戦のようす
が描かれています。
前日のブログでは、
チャンパ軍とクメール軍の行進
中国人の宴会
を見ました。
ここからは、
チャンパ軍とクメール軍の水上戦
魚やワニに食べられる、戦死者たち
が描かれています。
これは、トンレサップ湖での戦いを描いています。船を漕ぎ、進軍する、クメールの兵士たち。上部で踊っているように見える人は、全員を統率し、鼓舞しているのでしょうか。
さらに左へと進むと、今度はチャンパ軍の船に乗る兵士たちが登場します。
左側がクメール軍。そして右側はチャンパ軍です。両者の船の間では、激しい戦闘が繰り広げられています。トンレサップ湖での戦いは、クメール軍とチャンパ軍との戦いの歴史の中でも激戦として知られています。この戦いに勝利したことが、チャンパを破る大きなきっかけになったそうです。
水面は、犠牲となった兵士たちで埋め尽くされています。
船の下には、たくさんの死者が漂っているのですが…、
その死骸は、魚やワニに残らず食べつくされてしまいました。
凄惨な戦いのようすが描かれているのですが、
ここでもうひとつ見逃せないのは、
壁画の下の部分で、まるでおまけのように
描かれているレリーフです。
ここには、当時の人々の生活が、
いきいきと描かれているのです。
左から、ノコギリで木を切る人。トラに襲われ、木に登って逃げている人がいますが、解説では、バラモン僧とあります。そして、家の中でくつろいでいるようすも描かれています。
牛の親子と、農作業をする人々。素焼きの壺で煮炊きをしているようすも見えます。
木から大きな実を取って、家の中に運んでいます。パンの実でしょうか。樹液を採っている人も見えます。
なにかの治療をしているところなのでしょうか。
同じ壁画の中で、
上部には激闘のシーンを描き、
下部には、庶民のなにげない日常を
レリーフで残そうとした人の思いにも、
心惹かれるものがあります。
アンコールトムに描かれている、
このようなレリーフは、
当時の人々の生活や文化を知る、
貴重な手がかりとなっているそうです。
激闘を繰り広げる人々の下で描かれ続けている、穏やかな庶民の世界。不思議な構図です。
さらに歩きます。
第一回廊の壁には、延々とレリーフが残されているのですが、ときどきこんなふうに、出入り口が設けられています。
中をのぞいてみました。すると…、
第二回廊が見えました。林立する塔は、全部で49塔。それぞれに、観音菩薩が彫られています。
このまま入っていきたいところですが、
ここは通り抜け禁止。笑
引き続き、クメールとチャンパの戦いを見ながら、回廊を進みました。
(つづく)