埃まみれのビルマ。バックパッカーの10日間 24 - 水上に暮らす人々と足漕ぎ舟、そしてアウンおじいちゃん(1987年5月7日/7日め)
1987年5月7日 アウンおじいちゃんといっしょに、舟に乗りました。(ビルマ・ニャウンシュエ)
1987年5月7日(火)- 7日め
ニャウンシュエでたまたま出会った
アウンおじいちゃんの引率で、
小舟に乗り、インレー湖近くの水路を
進んでいます。
水路はとても長く、こんな広いところもありました。何艘もの小舟が通っています。この水路は、ここで水上生活をするインダー族の人々にとって、水路は道路と同じで、市場や学校、病院など、どこへ行くにも舟を利用します。
インダー族の人の住まいです。水の上に、高床式で建てられます。うーん、このときに私たちが泊まっていたゲストハウスみたいです。笑
家の前で、洗濯をするおばあさん。奥の方に、別の家も見えます。
家の前にあるのは、魚を獲るための仕掛けでしょうか。
一面の花の向こうに、家が見えました。やはり高床式です。
水上に建つ一軒の家の前を、
通り過ぎようとしたときです。
家の中から、ひとりの女性が出てきて、
おじいちゃんとなにかを話し始めました。
そのあと、おじいちゃんが私たちに、
通訳してくれました。
「中に入って、ごはんを食べて行かないか、
と言っています。」
はい…?
中に入る?
ごはんを食べる?
なぜ…?😮
目が点になっていると、
おじいちゃんは続けました。
「この家は、最近建てたばかりで、
今日はお祝いをしています。
お祝いの日に家の前を通った人は、
みんな、ごはんを食べさせてもらえます。」
ええええええええ。😮
びっくりしました。
家の前を通っただけなのに、
ゴハンまでいただけると…。🤣
でも、インダー族の方の家の中を見たかったし、
どんなごはんなのかも、見てみたい。
「入りたいですか?」
「はい!!!」
…ということで、その方の家の前に舟を寄せ、
家の中に入れていただきました。
お家の中です。日本と同じで、靴を脱いで上がりました。MIYOの隣りにいるのは、この家のご主人と娘さんです。テーブルの上には、たくさん、ごちそうが並んでいて、「食べろ、食べろ」と…。笑
このときに、話に聞いていた名物料理の、
「お茶の葉の佃煮」
を、食べることができました。😄
お祝いに集まった、たくさんの人々と。夫の後ろにおられるのが、この家の奥様とそのお母さん。
写真に入りきらないのですが、実は周りにまだまだたくさんいらっしゃいます。笑
若い女性のみなさんと子どもたち。この家が水上に建っているなんて、写真を見ただけではわかりませんね。^^
おじいちゃんが通訳してくださるので、みなさんと会話ができました。なごやかで、楽しいひとときでした。
家に入れていただいて、
ごはんまでいただいたのに、
突然のことだったので手土産もなく、
なんのお礼もできませんでした。
でも帰国してから、このときの写真を、
人数分、焼き増しして、
おじいちゃんに送りました。
せめてもの、お礼のつもり。^^
おじいちゃん、みなさんに、
写真を届けてくれているといいな…。😄
さて。
夫には、「インレー湖でぜひ見たい。」
と思っていたものがありました。
「インレー湖には、
足で舟を漕ぐ人たちがいるんだって。
それを見たいんだけどなあ。
どこかに、足で漕いでる人、いないかなあ。」
と言いながら、
夫は、前方の彼方に目をこらしています。
「そんな珍しいものが、
つごうよく見られるわけないじゃない。」
と、MIYOは思っていたのですが。
きょろきょろしていた夫が、
ふっと後ろをふりかえったときです。
「あっ いた!!」
え?
「この舟の船頭さんが、足で漕いでる…。」
うわ~。ほんとだ…。😮
灯台、もと暗し。探している人は、こんな近くにいました。笑
これぞ、インダー族のみなさんの、足漕ぎ航法。笑
どうして足で漕ぐのか、というと、
足で漕ぐ方が楽だから、とか、
両手があくから漁がしやすい、とか
たぶん、そんな理由じゃないかと…。
でも、片足で立った状態で、
これをやり続けるというのは、
すごい筋力とバランス感覚だと思います。
びっくりしていたら、前方に、別の小舟が見えました。あはは。この方も、やっぱり足で漕いでました。😄
見たいと思っていたものが見られて、うれしそうな夫。
水上に建つ家々が増えてきました。陸地が近づいてきたようです。
私たちを見て、子どもたちが駆け寄ってきました。手を振ってくれています。^^
こうして、約3時間ほどの、
水路遊覧が終わりました。
インレー湖には行けなかったけど、
水上に住む人々の家や暮らしに
触れることができ、思っていたよりもずっと、
充実した時間になりました。
「この舟に乗れてよかった。
インレー湖に行くよりも
むしろずっと楽しかった…。」
と、夫が言いました。
舟を降りて、おじいちゃんの家で休憩しました。おじいちゃんそっくりの息子さんと奥様そっくりの娘さん、そして小さなお孫さんといっしょに。
ここで、お礼の品をお渡ししました。
前夜、バックパックの中を総点検。
ふたりで話し合って、
「なくても困らないものは、
とにかく全部さしあげていく。」
と決めたので、衣類だけでなく、
タオル、ハンカチ、ポーチとか、
かなりの持ち物を袋に詰めて、
おじいちゃんにプレゼント。
「それから、こちらは、洗っていません。
ごめんなさい…。」
と、帰国してから洗う予定だったTシャツも、
袋にまとめて、恐縮しながらお渡ししました。
でも、おじいちゃんは、
喜んで受け取ってくれました。
おじいちゃんはどうして、
Tシャツが欲しかったのか…。
あとになって気がつきました。
それは自分のためではなく、きっと、
息子さんや娘さんに着せたかったから。🙂
ありったけのものをすべて差し上げたので、
私も夫も、バックパックの中が、
スカスカになりました。
いろんなものがなくなって、
軽くなったバックパックを背負って、
このあとも、旅は続きます。
(つづく)