ベトナム・カンボジアを歩いた14日間 39 - アンコールワット⑫ 第一回廊(アムリタをめぐる、神々と阿修羅の戦い)(2024年1月17日/6日め)
2024年1月17日 アンコールワット・第一回廊北面西側で、アプサラたちといっしょに。(カンボジア・シェムリアップ)
1月17日(日)- 6日め
第一回廊北面をさらに直進し、
西側に来ています。
北面の中間地点から見た、第一回廊北面西側です。いちばん奥にあるところが、第一回廊のスタート地点でした。
いよいよ、最後のエリアになります。
この部分の壁に描かれているのは、
「アムリタをめぐる、神々と阿修羅の戦い」
です。
壁面をびっしりと埋め尽くす、戦いのレリーフ。これが、ずうううっと奥まで続きます。
壁画に並行して造られている、もうひとつの通路。
その柱の上部にも、美しい装飾が続きます。
回廊に並ぶアプサラたち。アンコールワットの中では随所にアプサラを見ることができるのですが、このエリアでは、もっとも多くのアプサラが残されていました。
この女性は座っています。うちわであおがれているので、アプサラではなく、王族の女性であると思われます。
北面東側では、
「クリシュナと阿修羅バーナの戦い」
という、戦いの場面が描かれていましたが、
ここ西側でも、
「アムリタをめぐる、神々と阿修羅の戦い」
というテーマで、
阿修羅たちとの戦いのレリーフが続きます。
描かれているのは、
「『乳海攪拌』によって出現した、
不死の妙薬アムリタをめぐって、
神々と阿修羅が戦っている場面」
です。
したがって、レリーフには、
ヒンドゥー教のさまざまな神々が登場します。
壁画に埋め尽くされているのは、
戦いのシーンばかりです。
なので一見すると、
「同じような場面が繰り返し続くだけ」
のように思えるのですが、その中に時折、
さまざまな神々が登場します。
「その神々を壁画の中で見つける」
というのが、
ハイレベルな楽しみ方なのだそうです。
(ウォーリーをさがせ、みたいですね。😅)
【神々を見つけるヒント】
ヒンドゥー教には様々な神々が登場して混乱しますが、実は、どの神様なのかを識別するヒントがあります。それぞれの神様には「乗り物(ヴァーハナ)」が決まっているので、セットで描かれている動物や乗り物に着目すると、神々を識別できます。以下、北面西側の壁画に登場する神々とヴァーハナを、左から右に向かって、登場する順番に記載します。
クベーラ(財宝の神):夜叉/鬼神(ヤクシャ)
アグニ(火の神):サイ
スカンダ(軍神):孔雀
インドラ(雷霆神):白い象(アイラーヴァタ)
ヴィシュヌ(維持の神):ガルーダ
ヤマ(冥界の神):水牛
シヴァ(破壊の神):牡牛(ナンディン)
ブラフマー(創造の神):白いガチョウ(ハンサ)
スーリヤ(太陽神):馬が引く戦車
ヴァルナ(水の神):ナーガ (マカラに乗っていることもある)
私たちは、こんなヒントがあるとは知らないで、
見学してしまいました。(残念)
でも、このときに撮ったわずかな写真を
帰国してから見直してみると、
なるほどたしかに、
神々と乗り物(ヴァーハナ)が、
セットで描かれていました。
戦車を引く馬の一部が写っているので、これはスーリヤ神(太陽神)だと思われます。
馬が引く戦車に乗っていますが、向きが違うので、これは阿修羅族側。カラネミと呼ばれる、前ヴェーダの神です。
カラネミ(前ヴェーダの神)
これも馬に乗っていますが、左向きなので、阿修羅側だと思われます。手前では死闘が繰り広げられていますが、優勢で描かれているのは、どれも神々側の兵士です。
やはりこれも馬が引いていますが、左向きなので阿修羅側です。手前で戦っている兵士は、左が神々側で、右が阿修羅側です。両軍の被り物が違うので、すぐに見分けることができます。^^
あっ これはわかりやすい。ガルーダが引く戦車に乗っているので、ヴィシュヌ神(維持の神)ですね。😄
ヴィシュヌ神(維持の神)とガルーダ
これも、ガルーダに乗っているヴィシュヌ神。
ニョロニョロとしたヘビが描かれていますが、これはナーガ(ヘビの神)です。ナーガが引く戦車に乗っているということは、ヴァルナ神(水の神)です!
ヴァルナ神(水の神)とナーガ
おまけ画像です。これは、前回の「クリシュナと阿修羅バーナの戦い」で掲載した、火の神アグニ(Agni)。お約束どおり、サイが引く戦車に乗っています。
アグニとサイ。アグニは二面二臂(ふたつの顔と4本の手)で七枚の舌を持つと言われていますが、ここでは顔が3つ描かれています。
こんなおもしろい決まり事があったなんて。笑
帰国してからわかってよかった。
もしも見学する前から知っていたら、
この北面西側の壁画で、
10の神々とヴァーハナをさがして、
たぶん2時間くらいは、
ここから出られなかったと思います。😂(アホ)
第一回廊の最後のエリアだった、北面西側。
延々と続く戦いのレリーフは、
ヴァーハナに乗って登場する10の神々の、
まるで花道であるかのようでした。
これでようやく、第一回廊を制覇しました。
いまここ。😄 現在地は、「8」と記されているところです。
(つづく)