MIYO'S WEBSITE - 全盲難聴のんたんの記録と卵巣ガン、そして旅日記。

超未熟児で生まれた後遺症で、全盲難聴(盲ろう)となったのんたん、双子の妹あみちゃんと共に楽しく生きる家族のお話です。
子どもたちは24歳になり、毎日元気に楽しく暮らしています。
卵巣ガンになって思ったことも、少しずつ書き始めました。
ベトナム日記は、
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ベトナム・カンボジアを歩いた14日間 34 - アンコールワット⑦ 第一回廊(天国と地獄、乳海攪拌)(2024年1月17日/6日め)

2024年1月17日 アンコールワット・第一回廊東面南側。「乳海攪拌」です。(カンボジア・シェムリアップ)


1月17日(日)- 6日め


第一回廊南面西側で、
スーリヤバルマン2世の行軍を見た後、
その回廊をさらに進みました。


南面東側に描かれているのは、
「天国と地獄」。
ヒンドゥー教の世界観を基にした、
天国と地獄の物語が描かれています。


このエリアのテーマは、「死後の世界」。
壁面を3段に分割し、
 上段:天国に向かう王族の行列
 中段:審判を待つ人々
 下段:地獄の様子

を描いています。


今回の旅では、
このエリアの写真を撮らなかったので、
ブログでは、14年前に撮った写真を掲載します。


「上段は天国、中段は現世、下段は地獄」…とも言われています。(2010年7月26日)


「天国に行くか、地獄に行くか」を決めるのは、
裁判の神「ヤーマ神」
「閻魔大王」の語源になったと言われています。


「ヤーマ神」は、毎日多くの死者を裁くので、とても忙しかったようです。膨大な仕事をさばくため、「ヤーマ神」には手が18本もありました。レリーフには、水牛に乗った「ヤーマ神」が18本の腕を振るって裁判をこなすようすが描かれています。(2010年7月26日)


現世でひとつでも悪いことをしたら、
地獄に落とされたそうです。
(そんなこと言ってたら、全員地獄行き。
 天国に行ける人はいないと思いますが。😅)


そもそも、
「王と王族は、当然のこととして、
 天国に行くことになっている。」
…というのが、ムカつくところではあります。
(私が怒ってもしょうがないのですが。)


見どころは。地獄で繰り広げられる、刑罰の数々。地獄の数は、全部で32もありました。この女性は、浮気をしたようです。獄卒が髪をつかんで、棒で叩いています。(2010年7月26日)


このエリアの見どころは、地獄の刑罰の数々。
串刺しの刑、火あぶりの刑など、
人々が地獄で苦しむ姿が
生々しく描かれています。


処刑人にお金を渡し、見逃してもらおうと、
懇願する人の絵もあるのですが、
処刑人が手心を加えることはありません。


ガイドさんに教えられて撮った、ショッキングな写真。絵の大きさをわかりやすくするため、夫に言われて、MIYOが絵を指さしています。(2010年7月26日)

拡大しました。罪人は、お尻から頭のてっぺんまで、棒で串刺しにされています。うん、これは痛いと思う。(2010年7月26日)


串刺しの刑になったのは、
「殺人の罪」を犯した人でした。
では、これよりも、
最もひどい刑罰とされていたものが
ありました。
それは、下のふたつです。


マハーラウラヴァ(Maharaurava/大叫喚地獄)。磔にされ、全身に釘が打ち込まれています。体がとげとげになっているのが、わかりますでしょうか。(画像をお借りしました)

ラウラヴァ(Raurava/叫喚地獄)。 夜になると釘を外して、火の上に寝かせました。(画像をお借りしました)


翌朝になると、再び全身に釘を打ちます。
昼と夜の刑罰がセットになっていて、
それを毎日繰り返すのだそうです。
終わることはありません。


ヒンドゥー教では、
「刑罰を終えると、
 もう一度人間に戻ることができる。」
と、考えられています。
しかし、32番めの地獄に落ちたときだけは、
二度と人間に戻ることはできません。


この刑罰にあたる罪は、「親殺し」でした。
カンボジアの人々にとって、
親はなによりも大切な存在。
「親は神の一部である」とされていて、
日本人が普通に考えている親子観を、
はるかに超越しているようです。


もっともひどいとされる刑罰を見たところで、
第一回廊南面が終わりました。


ネット上でわかりやすい画像を見つけたので、今回からこれを利用したいと思います。

いまここ。😄


さて、第一回廊南面のつきあたりを
左に曲がり、第一回廊東面南側に入りました。
ここには、有名なレリーフがあります。
それは、「乳海攪拌」です。


これが、第一回廊でもっとも有名な、「乳海攪拌」のレリーフです。


【乳海攪拌】
ヒンドゥー教の天地創造神話
です。この神話では、「ミルクの海をかき混ぜることによって、そこからさまざまな動物が生まれた」とされています。その中でも、アンコールワット第一回廊に描かれているのは、「不老不死の薬『
アムリタ』を作り出すために、神々と阿修羅たちが、大蛇を綱代わりにして海をかき混ぜる」というシーンです。
レリーフでは、大蛇ヴァースキの胴体を、軸となる大マンダラ山に巻き付けてあり、その左側に阿修羅、右側に神々が並んでいます。そして、大蛇の胴体を綱引きのように引っ張り合って、海をかき回す様子が描かれています。中央には、指揮を執るヴィシュヌ神と山頂を支えるインドラ神、そして上部には、攪拌(こうはん)によって生まれた天女アプサラスの姿が見られます。


文章ではわかりにくいので、
実物のレリーフをご覧ください。


まずは、中央部で指揮を執るヴィシュヌ神。ここだけを見ると、神々が綱引きをして遊んでいるようですね。笑 一番下にいるのは亀。その背中に、マンダラ山を置いています。そして山の周囲に、大蛇ヴァースキの胴体を巻き付けてあります。

そのヴィシュヌ神を中心にして、右側には神々が並び、みんなでヘビの尻尾側を持っています

ヴィシュヌ神の右側にぎっしりと並んでいる神々。壁の終わり、出入り口のところまで続いています。右半分だけでも、こーんなに長いんです。

そして左側に並んでいるのは、鬼たち(阿修羅)。ヘビの頭側を抱えています。

ぎっしりと並んでいる阿修羅たちのさらに左側を見ていくと…、

レリーフを見ながら左端まで歩き、阿修羅側の最後尾(ヘビの頭部)の部分に来ました。ここには、大蛇の頭部があります。ナーガなのでしょうか。ヘビには頭が7つありました。

左が阿修羅で、右が神々。両者が交互にヘビの胴体を引っ張ることによって、真ん中の山が、右または左に回転します。こうして海をかき回したのですが、これを「乳海攪拌」と言います。


この「乳海攪拌」は、
1000年以上続いたそうです。
その結果、海から天女が生まれ、
次に動植物、そして最後に、
人間が生まれた、とされています。


中央部のヴィシュヌ神の上部をよく見ると、山頂を支えるインドラ神の姿があります。

そしてヴィシュヌ神頭部の両脇には、攪拌(こうはん)によって生まれた、たくさんの天女アプサラスの姿が見られます。

頭上で舞う、天女アプサラス。

ベールを持って踊る天女たちが生き生きと描かれていて、そのまま動き出しそうです。


「乳海攪拌」のレリーフは、
他の遺跡にも多く見られます。
ですが、アンコール・ワットのものは、
その規模の大きさや斬新な構図、
巧みな彫刻技術など、
あらゆる面で優れており、
クメール芸術の最高傑作と言われています。


いまここ。😄


(つづく)

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