定年でもベトナム。ハノイで始める、お仕事日記 141 - 民族衣装に心魅かれて(2019年10月20日/50日め)
花モン族の少女(画像をお借りしました)。
10月20日
ベトナムの民族衣装といえば、
よく知られているのが、アオザイです。
が、実はこのアオザイ、
ベトナムの主要民族のひとつである、
キン族の衣装だというのは、あまり知られていません。
「アオザイ」は、ベトナムという国の、
ほんの一部でしかないのです。
ベトナムには、キン族を含め、
なんと54もの民族が暮らしており、
それぞれに独自の民族衣装をもっています。
近年は、ジーンズやTシャツなど、
現代風の洋服が普段着となっていることも多いのですが、
ベトナム全土に散らばる少数民族のなかには、
今も、伝統の衣装を身にまとい、
農作業や家事などの、
日々の生活を営んでいる人々がいます。
そんな人々と出会える場所が、サパなのです。
40年以上前から、少数民族フェチだった夫は、
「いつかサパに行きたい。」
と夢見ていました。
首都ハノイから北西へ約250キロの、
山間の町、サパ。
標高約1600メートルの高原にあり、
一年を通して涼しい(または寒い)、
ベトナム有数の避暑地となっています。
そんなサパには、
周辺の山に住む少数民族の人々が、
毎日行商にやってきます。
ハノイやホーチミンではまずお目にかかれない、
少数民族のみなさんに出会えるのが、
サパ旅行の醍醐味です。
この日は、サパからさらに車で3時間移動し、
バックハーというところで開催されている、
日曜市を訪ねることになっていました。
バックハーは、花モン族が多い地域なのですが、
周辺の山々からも少数民族がやってくるため、
多くの民族でにぎわっているそうです。
そういうところなら、
MIYOもぜひ行ってみたいと思います。^^
このバックハーの日曜市に行くため、
夫はツアーの日程を調整し、
日曜日に時間がとれるようにしました。
ほかの場所なら、毎日いつでも行けますが、
日曜市だけは、日曜でないとみられませんからね。^^
ところで、このサパ周辺に、
どれだけ多くの少数民族が住んでいるかを、
ホテルのロビーでも、
少しだけ垣間見ることができました。
それが、下の写真です。
ロビーに展示してあった、サパ周辺の少数民族の衣装。全11種。
その上、いくつもの衣装がハンガーにかけてあり、自由に試着していいのだそうです。^^
今思うと、
「11着をまとめて撮ったりせず、
展示されていた衣装のひとつひとつを、
個別に撮っておけばよかった」
と、少し残念なのですが、
このときには、思いつきませんでした。
そこで、ロビーに展示してあった衣装の順に、
ネットで探し出してきた画像をお借りしながら、
個々の民族衣装について、
少しだけ、ご紹介したいと思います。
赤ザオ族(11の民族衣装の右端)
赤い布を頭に巻きつけます。成人女性が髪や眉を剃っているのが特徴。頭のターバンは結婚・出産をし、年を重ねていくごとに厚く巻き重ねていきます。
花ロロ族(11の民族衣装の右から2番目)
中国雲南省から移住してきたといわれ、中国ではイ族に分類されます。色とりどりの布を細かくパッチワークした、とても華やかな民族衣装が特徴です。独自の太陰太陽暦に従って農業、婚姻などの儀礼を行っています。
この衣装を作るのに2年かかったそうです。
タイー族(11の民族衣装の右から3番目)
ウエストの細さや美しい曲線を強調するように色鮮やかな腰帯を巻きます。頭には、頭巾を被ります。頭巾には、自然をモチーフとした花模様の刺繍が施され、縁にフリンジが付いています。
黒モン族(11の民族衣装の右から4番目)
藍染めで濃紺に染めた衣装が特徴です。サパ周辺に多く暮らし、珍しく男性でも民族衣装を着用した姿を見ることができます。 何度も染めて濃紺に仕上げた衣装は虫除けの効果があります。藍染めの上からロウを塗り重ね、光沢を出したものもあります。
ツアーのガイドをしてくれた、黒モン族の女性。若い女性の衣装はカラフルです。
ザオカウ族(11の民族衣装の右から6番目)
何度も藍染をし、黒く染めた長い布を頭にターバンのように巻きつけ、クロスステッチで細かく刺繍したズボンをはきます。 村によっては今でも自分たちで藍染めを行います。中国南部より南下してきた歴史をもちます。
バックハーで見かけた女性。
花モン族(11の民族衣装の右から7番目)
赤やピンク色などの刺繍やチロリアンテープをたくさん縫いつけた華やかな衣装が特徴です。刺繍された上着・スカートは重く、1kgほどになります。刺繍は、花や蝶、ぶどうなど、自然や動物などモチーフにしており、無数の色で描かれるラインは棚田を表していると言われています。ブラウス一着分の刺繍を施すために、最低10日ほどかかるそうです。
花モン族の帽子をかぶった長女。^^
バックハーで見かけた女性。
ランテン・ザオ族(11の民族衣装の右から8番目)
衣装に華やかさはありませんが、頭にとぐろを巻いたような帽子や円盤の皿の様な銀製品、たくさんのカラフルな毛糸をつけた黒い布などを被ります。 場所によって、上着は黒や紺色の襟の下にピンクや赤色の毛糸の房をつけています。子供の衣装も同じです。
バックハーで見かけた女性。
白モン族
白色をアクセントにした衣装が特徴です。頭に黒やカラフルなスカーフを巻きつけています。基本的にスカートは白または黒で、刺繍をしません。
いかがでしょうか?
全部で53の少数民族の中の、
ほんの一部をご紹介しました。
それぞれに特徴があり、
その衣装を自然に着こなしている彼女たちに、
ただただ、心魅かれてしまいます。
こんな少数民族がたくさん集まっている、
バックハー日曜市。
もうすぐそこへ行くと思うと、
気持ちがはやりました。^^
(つづく)