初秋の北海道へ。小樽からトムラウシまで、駆け抜けた6日間 8 - 「ル・ゴロワ」で、北海道をいただく。(2024年9月16日/1日め)
2024年9月16日 「ル・ゴロワ」で。(北海道富良野市)
9月16日(月)
森の中の一軒屋レストラン、
「ル・ゴロワ フラノ」
に来ています。
私たちが案内されたのは、夕暮れ時に小径から見えた、このテーブルでした。
夫がテーブルから撮った店内です。高めの壁がめぐらされているので、他の席はあまり見えません。店内は全35席。静かで、落ち着いた雰囲気のお店でした。
赤い表紙のメニューを開くと…、
中は、マダムの手書きでしょうか。その時の食材によってコースの内容が変わっていくので、メニューも印刷ではなく、手書きになっているようです。^^
まずはワインを。ワインリストには、北海道のワインが並んでいましたが、地元、富良野の「羆(ひぐま)の晩酌」にしてみました。(7500円)
「ふらのワイン」は、
富良野で穫れたブドウで作っています。
大塚シェフとマダムは、
毎年、ワイナリー「ふらのワイン」を訪れ、
その年のワインの出来を確かめ、
そのワインに合う料理を考えるそうです。
なんとゴージャスなお話。^^
実は私たちは、南米のワインが好きで、
国産ワインはあまり飲まないのですが、
大塚シェフが選んだものなら、
と期待を込めて注文しました。
(これでも、リストの中で、
一番お安いワインでした。😅)
「羆の晩酌」は、ふらのワイン社のもので、地元の道の駅でも見かけました。楽天でも販売していて、2600円でした。
でも同じ名前でも、この日にいただいたのはまったくの別物。新富良野プリンスホテルのために作られた、オリジナルワインです。
そしていただくのは、「北海道 旬のコース」。
新鮮な北海道の食材をふんだんに使った、
大塚シェフこだわりのフルコースです。
まずは冷製。赤パプリカのムースとトマトのクーリーです。
【クーリー(Coulis)】
フランス料理でよく用いられるソースの一種です。裏漉しした野菜や果物から作られるどろっとしたソースで、ステーキのソースやサラダのドレッシングとして用いられます。
中央に置かれた赤パプリカのムース、
たっぷりと注がれたトマトのクーリー。
ふわふわのムースも、
どろりとしたクーリーも、
別々に食べても十分なおいしさです。
どちらも、
野菜をそのままいただいているのかと
思えるほどに、滋味にあふれていました。
添えられたのは、蕎麦粉のパン。カリッとした食感で、普通のパンよりもあっさりしています。おいしい。^^
寿都郡ホタテのグリルと富良野野菜のラタトゥイユ。朝もぎとうもろこしの取り合わせ。
分厚いホタテ貝とラタトゥイユの取り合わせが絶妙でした。そして朝もぎとうもろこしのスープは、おいしくないはずがありません。^^
とれたて野菜のひと皿。スープで煮た大根、蒸したサツマイモ、ブロッコリー、ラディッシュ、きゅうりなどの野菜が、どれもひと口分だけなのが心憎いところ。できるだけたくさんの種類の野菜を味わっていただきたい、というシェフの遊び心を感じました。くるみは軽く揚げられていて香ばしく、ポテトチップ、チーズトースト、サーモンと、ひとつひとつに手間をかけているのが感じられました。
手前のモッツァレッラチーズは、
テレビ番組で紹介されていた、
「チーズ工房 白糠酪恵舎」の
井ノ口和良さんが作ったものだと思います。
ミルクの風味が感じられ、
透明感のあるおいしさでした。
野菜や海産物はもちろん、
チーズや肉類にいたるまで、すべて、
シェフとマダムが生産者を訪ねて、
味を確かめて仕入れたものです。
「ル・ゴロワ」で採用されたことをきっかけに、
他の料理店でも使用されるようになり、
販路の拡大につながった生産者も
少なくないそうです。
大塚シェフは、まさに、
「北海道の食のサポーター」です。
次のひと皿は、
魚料理またはスパゲティ
のどちらかを選びました。
MIYOが選んだのは魚料理。おひょうのムニエルの上に、ポテトの千切りを焼いたものがのっています。帆立のクリームソースと共に、スダチを搾っていただきます。
夫が選んだスパゲティ。北海道のチーズやクリームを使ってあり、くせのない、さっぱりとしたおいしさでした。コース料理の中にパスタが登場するので、「ゴ・エ・ミヨ」でイタリア料理のカテゴリーに掲載されてしまったのかもしれません。いやこれ、フレンチでしょう、と思いますが。
お口直しのグラニテです。この日はなんと、富良野のスイカのグラニテでした。
【グラニテ(Granité)】
フランス料理のコースにおいて供される、シャーベット状の氷菓です。本来は、コースの中で、肉料理とローストの間、もしくは魚料理と肉料理の間の口直しを目的として供されるものでした。最近は、コースの最後にデザートとして供されるものを指していうこともあります。「グラニテ」とは、フランス語で「ざらざらした」という意味です。その名の通り、ソルベと比べて氷の粒が粗く、シャリシャリとした食感が特徴です。口直し目的のグラニテは、デザートとして供されるソルベよりも糖度が低くなっています。
スイカが好きで、タイに行ったときは、
スイカのジュースばかり飲んでいるのですが、
スイカのグラニテは初めて。
感動しながら食べ始め、
写真を撮ることを忘れていました。笑
グラニテ、最高のお口直しでした。
夫も、スプーンを入れたところで気がつき、
慌てて写真を撮ったので、
スプーンにグラニテが付いています。🤣🤣
もうおいしすぎて、だんだん、
写真なんて撮ってる場合じゃない状態
になってきました。😅
次はメインの、薪火焼き料理です。
白糠産のエゾ鹿肉
茶路めん羊牧場の骨付き仔羊
標茶産星空の黒牛
から、ひとつを選びます。
MIYOが選んだ、茶路めん羊牧場の骨付き仔羊。洋わさびと共にいただきました。臭みがなく、ジューシーでありながらさっぱりとしたおいしさ。フィンガーボウルも付いていたので、気兼ねなく、骨を手に持ってかじりました。笑
夫が選んだのは、標茶産星空の黒牛。お肉が柔らかくて、これもおいしかった!
充実のフルコースでしたが、
量もちょうどよく、最後まで、
おいしくいただくことができました。
つづいて、「本日のデザート」だったのですが、いただいたメニューには、5種類のデザートが書いてありました。こうして毎日、手書きのメニューを作っておられるようです…。
本日のデザート:
グレープフルーツのプリン
ブランマンジェ ぶどうと小豆のスープ仕立て ハチミツのシャーベット添え
温かいブルーベリー、ハスカップのクラクティに牛乳のアイスクリーム
チョコレートのテリーヌ
富良野完熟赤肉のカットメロン
どれかひとつを選ぶのですが、
選択肢が5種類もあるのは、
マダムがパティシエでいらしたから、
かもしれません。^^
MIYOのデザートは、ブランマンジェ ぶどうと小豆のスープ仕立て ハチミツのシャーベット添え。
夫が選んだのは、温かいブルーベリー、ハスカップのクラフティに牛乳のアイスクリーム。
【クラフティ(Clafoutis)】
フランス・リムーザン地方の伝統菓子です。耐熱皿に、種を抜かずにブラックチェリーを並べ、鶏卵、牛乳、砂糖、小麦粉を混ぜたクレープ風の生地を流し込み、オーブンで焼き上げ、粗熱が取れたら粉糖をかけていただきます。生地に生クリームを入れるレシピもあります。ブラックチェリーの代わりに、赤サクランボやリンゴ、梨、その他の果実を使うこともあります。家庭料理であるため、材料や作り方には幅広いバリエーションがあります。
食後のコーヒーには、小さな焼き菓子が添えられていました。
お砂糖壺に描かれていた、タコのイラスト。^^
これで、ル・ゴロワの「北海道 旬のコース」が終わりました。
最後に大塚シェフの写真を。オープンキッチンなのは、「お客様が食べているところを見ながら作りたい。」というシェフの希望だったそうです。
「おいしかったね。😊」
帰り際に、撮っていただいた一枚。
ごちそうさまでした。
新鮮な「北海道の食材」にこだわり、
東京から移住までしてしまった、
「ル・ゴロワ」のシェフとマダム。
おふたりの生き方にあこがれて、
ぜひ食べてみたい、という一念で、
ここまで来てしまいました。
北海道の食材をできるかぎり使い、
ていねいに作られた料理は、
どれもすばらしいものでした。
北海道ならではの滋味あふれるフレンチは、
大塚シェフとマダムの、夢を実現した料理。
ここでしかいただけない、
唯一無二の「北海道フレンチ」でした。
たいへんだったけど、
このお店に来ることができてよかった…。
森の中のレストランでいただいたお料理の
おいしさに感動した、秋の夜でした。
この日のことは、
たいせつな、たいせつな、思い出として、
いつまでも忘れられないと思います。
ごちそうさまでした。
(つづく)