MIYO'S WEBSITE-全盲難聴のんたんの育児記録と卵巣ガンで思ったこと

超未熟児で生まれた後遺症で、全盲難聴(盲ろう)となったのんたん、双子の妹あみちゃんと共に楽しく生きる家族のお話です。
子どもたちは21歳になり、毎日元気に楽しく暮らしています。
卵巣ガンになって思ったことも、少しずつ書き始めました。

入院時の個室料金を、患者からだまし取る病院 ④

2006年10月14日 運動会で、応援合戦。(全盲難聴・のんたん 11歳)



みなさま、たくさんのコメントやリブログをありがとうございました。
うれしいです。^^
コメントにお答えしながら、この記事を書く意味について、
お伝えしたいと思います。


ひろこさん
お父様は、堅実な方なのですね。すてきです。
そして、りっぱな方なのだな、と思いました。
たしかに、一日1000円くらいであれば、
子供としては、なんとか説得して、良い部屋にはいってほしい、と思いますよね。
でも、一日100000円になると、もう、絶句してしまいます。
病院って、ホテルと違って、「一泊いくら」じゃないですよね
「一日いくら」ですから、一泊しただけでも、二日分、200000円ですよ。
誰が入院するんですか?って、私も聞きたいです。(笑)
超お金持ちしか入院できないから、聖路加国際病院では、
入院すると、すっごくよくしてくれるそうです。
でも、なにか違う気がします…。


みよんさん
たしかに、おっしゃるとおりで、ホテルでも航空チケットでも、
予約していたにも関わらず、会社側の都合で空きがなくなったら、
同じ料金でワンランク上にしてくれますね。
同じ理屈が病院では通らないのは、
「治療してやるんだ。もんくあるか。」っていう、
病院側の強い立場をカサに着てるのかな、という気がします。
「空室のままよりも、安くても泊まってくれた方がいい。」
というホテルの論理は、病院では、
「空いている個室は、だましてでも泊まらせて、料金を取った方がいい。」
という論理にすりかわるようです。


Hatumamaさん
現場で勤務されている方でも疑問に思う、とのコメント、心強いです。
「差額ベッド代をとらない病院」
実は、あるんですよ。^^

それについては、また次回以降で、書いていきますね。


田舎の一軒家こだわり農家さん
>果たしてノーが言いとおせるか、自信がありません。重症であればなおさらでしょう。
そのとおりです。
私も自信がありません。(苦笑)
でも、なにも知らなければ、全員が、高額な差額ベッド代を支払い続けるだけです。
けれど、「これは、本当はまちがっている」ということを知っていれば、
なかには、払わないで切り抜けられる方もいらっしゃるかもしれません。
このことをブログに書くことにより、
どなたかのお役にたてるかもしれない。
そう思って、連載を書き続けています。


つばペンさんが、リブログしてくださいました。

10数年前に、15万円の個室料を支払われたそうです。
そして、こう書いていらっしゃいます。
「無知って損だね~~~」



現実には、「患者」という弱い立場で、どこまで正論が通せるか、
難しいかもしれません。
けれど、まずは、「あるべき姿」を知っていただきたい、と思います。
すべては、そこから始まります。


奥州平山氏さんが、リブログに、心強いタイトルをつけてくださいました。

病院側の都合で、 個室へ入れられる場合に、 患者さんら側は、 差額ベッド代金、を、 払う必要は、無い !



日本で、 最も、 反社会性らが横行し、 それが放置されてある分野である、 医療サービス分野 !



一般の主権者たちの直な立法により、 一般社会らから、 取り除かれて、 永久に隔離され、 償いを成すべき、 ペテン師な、 医療サービス幹部ら、 など ❕

皆様、ありがとうございます。
勇気づけられました。
本当は、このテーマを書くのは、私自身も勇気がいるんです。
でも、なんとか書いていこうと思います。

入院時の個室料金を、患者からだまし取る病院 ③

2006年10月14日 運動会で、応援合戦。(全盲難聴・のんたん 11歳)



ここで、シミュレーションをしてみましょう。


自分が、突然、入院することになってしまった、と想像してみてください。
予想外の出来事に、頭の中が真っ白になってしまっている状態で、
看護師がやってきて、こう尋ねます。
「現在、相部屋に空きがないので、個室になりますが、いいですか? 
 一日あたり2万円かかります。」

この状況で、「いやです」と言える人は、ほとんどいないでしょう。
うなずくと、今度は、紙をわたされます。
「では、こちらに記入してください。」と。
それは、個室にはいるための「同意書」です。
当然、言われるままに、名前を書いてしまうことでしょう。
それを提出した時点で、アウト、なのです。


同意書に署名すると、
「有料の個室を利用することに同意した」ことになってしまいます。
つまり、「個室にはいることを希望した。」と見なされてしまうのです。
同意書に署名したのですから、
このあと、いくら、厚生労働省の文書を見せようと、
もう、勝ち目はほとんどありません。


入院するときって、
手術の同意書とか、治療の同意書、検査の同意書・・・と、
いくつもの同意書を書かされます。
これらはどれも、「必要な同意書」なのですが、
その中に、「書いてはいけない同意書」がまぎれこんでしまうと、
シロウトの私たちには、区別がつきません。
流されるままに、すべての同意書に署名してしまいがちです。
そのあげく、高額な差額ベッド代を支払うはめになってしまうのです。
そうならないためには、どうすればよいのでしょうか?


答えは、「同意書に署名をしないこと」です。
やむをえず個室を利用することになると、
差額ベッド代を支払わせたい病院は、
「同意書を書くように」と、必ず言います。
でも、絶対に、署名してはいけません。
そして、こう言いましょう。
「私には、その、高額な差額ベッド代を支払う経済的な余裕がありません。
 また、有料で個室にはいることを、希望しているわけではありません。
 ですから、同意書に署名はできません。」
と。


このときに、厚生労働省の文書を見せ、
「空きがなくて、やむを得ず個室に入った場合は、
 差額ベッド代を支払わなくていいみたいですよ…。」
と言って、やんわりと「おしえてあげる」のは、かなり有効です。


「入院でばたばたしているときに、そんな文書、印刷する余裕がない」
と思う方は、万が一の事態に備えて、
文書のファイルを、スマホに保存しておきましょう。
別に、印刷していなくても、スマホでそれを見せれば、
病院は、「ちっ この患者、知ってたのか。」と思うわけです。
便利な世の中になりました。^^


ここで、
「個室代を払わないなら、治療はできません。
 この病院から出て行ってください。」
と言える病院は、ほとんどないと思います。
それは、厚生労働省の指導に逆らっているわけだし、
そもそもそんなこと、人道上、許されませんよね。

ああ、そういえば、個室代が払えないと転院しなければならない病院を、
ひとつ思い出しました。
聖路加国際病院です。

院内のほとんどの病室が、個室になっており、
差額ベッド代が、一日3~10万円くらいかかる、と聞いたことがあります。
10年くらい前に、私の義叔母が、乳がんの手術のため、この病院に入院しました。
差額ベッド代が、一日あたり10万円だったそうです。

さらに、数年前のことですが、夫のいとこが心臓を悪くし、
救急車で、この病院に運ばれました。
緊急の処置をしていただき、なんとか命は助かったのですが、
その後、看護師さんから、
「個室代が、一日*万円かかります。
 お支払いできないようなら、ほかの病院に転院していただくことも可能です。
 どういたしましょうか。」
と言われたそうです。

いとこの家族は、
「差額ベッド代については、わかっております。大丈夫です。」
と答え、結局、そのまま入院し続けました。
支払った総額は、きっとすごい金額になったと思います。
「個室代が払えないなら、出て行ってください」って病院、
なかにはあるんですね…。
キリスト教の病院なのに、そんなことやるんですね…。


今回は、差額ベッド代を支払わないためには、
「同意書」に絶対に署名しないことが重要、
というお話でした。
次回は、この「同意書」を書くようにせまられて、
我が家が実際に病院でやったことの顛末を、お話します。

入院時の個室料金を、患者からだまし取る病院 ②

2012年11月6日 指先を使う練習をしています。(全盲難聴・のんたん 17歳)



昨日の記事に対して、たくさんのコメントをいただきました。
プリンさん、デジカメ見て歩記さん、チューリップさん、
しゃけ子さん、関戸秀春さん、necokyuu29さん、
どうもありがとうございました。
20年たっても、あまり知られていないことだったのだ、とわかり、
私もびっくりしています。
これは、新聞とかで、もっと大きく報道し、
「世の中の常識」にしてほしいものですね。


「払わなくて良い個室料金を、知らないで払わされてしまう」なんて、
くやしいですよね。
みなさんも、どうか被害にあわないように、
この記事をお役に立てていただければ、私もうれしいです。


さて、今日のお話です。
病院から、
「空きがないので、個室に入ってください。一日あたり2万円です。」
などと言われたときに、
「そういう場合は、個室料金は支払わなくていいみたいですよ・・・。」
と言っていいことは、昨日お話しました。
でも、それだけでは、ちょっと心細いかもしれません。
なかには、「そんなの、聞いたこともありません。」
なんていう看護師も、いるかもしれません。
そこで今日は、そんなときに役にたつであろう文書を、ご紹介します。


昨日もお話しましたが、厚生労働省は、
「自分で希望していない場合は、差額ベッド代は払わなくて良いよ」
と言ってくれています。
が、実際の現場では、どうやらその方針でやっていない病院もあるのです。
この件に関しては、トラブルになるケースも多々あり、
結果的に看護師さんともめてしまうこともあります。
これは私たちにとってとても悲しいことであり、大きな問題です。


そういう病院で、
「病院の都合で個室に入れられたのだから、
 差額ベッド代は支払う必要はないですよね?」
と言ったら、どうなるでしょうか。
私たちはあたりまえのことを言っているだけなのに、
看護師さんから、「厄介者、クレーマー」などのレッテルを貼られ、
入院生活での看護師さんとの関係が
かなり悪化してしまう可能性があります。


入院中の患者にとって、看護師から嫌われるというのは、
精神的にも肉体的にもかなりダメージが大きいことです。
結局、「看護師さんともめたくない」ということで、
泣き寝入りしてしまう人も多いのではないかと思います。


それでも、病院側からの不当な請求は、
基本的に支払う必要はありません。
なので、もし病院側から請求された場合は、
厚生労働省が発表している、「留意事項が書いてある文書」を印刷し、
病院に見せるというのも有効です。


「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定め
る掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医
薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000041925.pdf

この中の(8)に、
「患者に特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合」
について、明確に説明してあります。


この文書を見せられて、
「それでも払いなさい」と言う病院は、
おそらくないでしょう。
なんたって、厚生労働省が発行している文書ですからね。^^


もちろん、この文書に書いてある内容を、
病院側は、とっくに承知しています。
知っていて、知らないふりをし、
差額ベッド代を払わせようとしているのです。

ですから、私たちが病院でこの文書を見せても、
心の中で、「ちっ この患者、知ってたのか。」と思うだけです。
けれど、知らないふりをして、支払いを強要しているのですから、
「払わなくていいと、ここに書いてありますよ。」
と、おしえてあげればいいのです。


この文書があるおかげで、
「差額ベッド代は支払わなくていい。」という、
私たちの立ち位置が、はっきりしてきました。
そう。
希望していない個室の利用料は、支払わなくていいんです。


それでも、法の目をかいくぐるように、病院は、別のワザを使ってきます。
それは、「同意書」です。
これがあると、私たちは、差額ベッド代を支払わざるを得ない状況に、
追い込まれてしまいます。

次回は、この「同意書」を、病院がどんなふうに利用(悪用)しているのか、
について、お話します。
そして、不要な差額ベッド代を支払わないですませるために、
「私たちは『同意書』に、どう対抗していけばいいのか」
についても、書いていきたいと思います。


(つづく)


入院時の個室料金を、患者からだまし取る病院 ①

2012年11月6日 授業中です。(全盲難聴・のんたん 17歳)



入院時の個室料金を、患者からだまし取る


これは、我が家の子どもたちが小さいころに体験したことです。
あれから20年もたっているのだから、
もう、こんなことは誰でも知っていることだろう、と思っていたし、
いまだにこんなことをやっている病院は、あまりないだろう、
とも思っていました。


ところが、そうではないことを、
先日、ある方のブログで知りました。


その方は、帯状疱疹で入院することになったのですが、
「相部屋に空きがない」とのことで、個室に入ることになってしまいました。
個室の利用料は、一日あたり2万円だそうです。
一週間なら、14万円。
すごい金額です。


自分で希望していないにも関わらず、
一般のベッドがないなど、病院側の都合で個室を利用することになった場合、
その「差額ベッド代」を、実は私たちは支払わなくても良いことになっています。
ところが、現実には、多くの患者さんが、
支払わざるを得ない状況におかれてしまいます。


みなさん。
万が一のときのために、覚えておいてくださいね。
希望していないのにはいってしまった個室の利用料は、
支払わなくていいんですよ・・・。

今回は、そんな、差額ベッド料のお話をします。
どうやったら、病院からだまされることなく、
差額ベッド料を支払わないですませることができるか・・・。
そんなワザについても、ご説明していこうと思います。


実は、私自身も、ずっと前に、くやしい思いをしました。
長男が小さい頃のことです。
ある日、けいれんの発作を起こし、救急車で運ばれました。
そのとき、医師から、「個室にはいるように」と指示され、
あげくに、一日あたり18000円も支払うことになってしまったのです。
一週間の入院なら、126000円です。


おかしい、と思いました。
個室を希望しているわけでもないのに、個室にはいるように指示され、
こんな高額な差額ベッド料を支払うことになるのです。
ならば、その費用が支払えないような家庭は、どうなるのでしょうか。
個室料が払えない患者は、
その病院から追い出されるのでしょうか。


そんなこと、ありえない、と思いました。


たいへんな病気で、個室を使わざるを得ない状況で、
何ヶ月も入院することになった場合、
数百万円もの個室料を支払うことになってしまいます。
でも、そんな話、聞いたことがありません。


これは、なにかあるはずです。
そこで、調べてみました。


20年近く前のことです。
当時は、ネットがあまり一般的ではなく、
なかなか、情報を集めることができませんでした。
でも、ひとつだけ、読売新聞の記事が見つかりました。
ある、ダウン症の男の子のお父さんの話です。
その男の子には、心臓疾患があり、なんども入院しました。
そのたびに、(障害児であることを理由に)病院から、
「個室にはいるように」と指示されました。


入院期間が長かったこともあり、差額ベッド代が、
総額で数百万円におよんでしまいました。
そして、ようやく、そのおとうさんは、
「これはおかしい」と声をあげたのです。
訴訟を起こし、最終的に、その病院から、
すべての差額ベッド代を返金してもらったそうです。


そう。
差額ベッド代は、支払わなくてもよいのです。
具体的には、以下のような場合には、
差額ベッド代を支払う必要がないとされています。


• 患者さん側から同意書による同意の確認を行っていない場合
• 患者さん本人の「治療上の必要」により差額ベッド室に入院した場合
• 病棟管理の必要性等から差額ベッド室に入院させた場合であって、実質的に患者さんの選択によらない場合
(引用:差額ベッド(特別療養環境室)について – 埼玉県)


簡単に言うと、
自分で希望していないのに病院側の都合で利用することになった場合、
または治療上の必要があって個室になった場合、
あるいは自分が感染症などにかかっていて個室以外では管理が難しいなどの理由で差額ベッド代が発生する部屋に入院した場合は、
「差額ベッド代を支払う必要はない」とされているのです。

これ、重要です。
頭の片隅で、覚えておいてくださいね。

そう考えると、長男が入院したときも、
「個室にはいってください」と医師から言われたのですから、
「治療上の必要性があり、病院が指示した」ケースだったのです。
そうであれば、一日18000円もの差額ベッド代を
支払う必要はなかったのでした。
そう考えると、くやしいですね・・・。


そうは言っても、実際には、多くの患者さんが、
希望していないのに個室にはいり、高額な差額ベッド代を支払わされています。
どうしてでしょうか。


病院は、「支払う必要がない」とわかっているのに、
患者さんにそれを説明せず、利用料を請求しているのです。
つまり、「確信犯」です。


次回は、私たちが個室利用料を支払わざるを得ないはめになってしまうように、
病院が行っている手口について、お話します。


(つづく)

もうひとつの、スピリチュアル体験 – ひまわり施療院 ⑥

2012年11月6日 点字を読んでいます。(全盲難聴・のんたん 17歳)



職場復帰


  子どもたちの一歳のお誕生日が近づいてきた。それは、私の職場復帰が間近にせまっているということを意味していた。
  苦労したあげく、のぞみとあみかはなんとか、K共同保育所に入れてもらえることになり、会社では、私が戻る職場も用意された。なにも問題はなかったのだが、私には心配していることがひとつあった。それは、田中先生は私が働くことを反対しないだろうか、という懸念だった。
  このころ、ひまわり施療院には、治療の希望者が殺到していた。
  先生は、一切宣伝をしない主義の人だった。宣伝したために希望者が殺到し、自分には治せるとわかっている人を断らねばならなくなるのがいやなのだそうだ。ところが、ひまわり施療院を開設するにあたって、唯一ある雑誌に登場した。それがきっかけとなり、多くの申し込みが来るようになっていた。だが、ひとりの施療には、最低でも5ヶ月かかるのだ。
  それだけではない。ただでさえ多忙だというのに、先生は、国内のみならず、年に一、二回は海外でも施療をおこなっていた。中国やアメリカ、オーストラリアなどにでかけては、実際に治療をしてみせて、その国の様々な側面から自分が評価されることをとても喜んでいた。そして、帰国するときには、治療している子どもたちへのお土産を買って来ることも、けっして忘れない人だった。
  そんな具合だったから、当時は、施療を希望しても空きはなかなか来なかった。それでも、そんな状況にありながら、私たち一家には先生が特別目をかけてくれていることもわかっていた。すべては、先生の胸ひとつなのだ。
  私が恐れていたのは、先生が、「こんな子どもを抱えて働くなんて。」と言い出すことだった。先生の年齢の人なら、女性が働くことにはそれほど理解はないであろう。そして、そのことばは、「仕事なんて、辞めなさい。」に発展するのではないだろうか。事実、障害児を持った女性が仕事をするとき、子どもの主治医からひどいことばでそれをなじられるという例はいくらでもあった。
  幸いなことに、それまで私は、誰からもそんなことばを言われたことはなかった。が、もしも私が先生にそう言われて、それでも言うことをきかないで仕事を続けたら、のぞみはこれ以上治療を施してはもらえないのではないか。なによりもそれが心配だった。
  それでも、仕事を始めたら週末にしか通えなくなるのだから、先生に秘密にしておくことはできない。私は、恐る恐る、職場復帰が近いことを先生に打ち明けた。
  ところが、予想に反して、先生は淡々としていた。
「そう。いつから? たいへんねえ。ほんとに、みんながんばること。」
  偶然だったが、同じ時期に職場復帰するおかあさんがもうひとりいたのだ。彼女も、ダウン症の長女を預かってくれる共同保育所をやっとの思いで見つけ、仕事を続ける手はずを整えていた。既に薬剤師として仕事をしている女性が、さらにもうひとりいた。彼女の長男も、ダウン症だったそうだ。
  障害児がいても仕事を続けることに疑問を感じない女性が、少しずつながら増えている時代のせいかもしれない。さらには、現状に甘んじず、様々の可能性を求めて全力を尽くすような性格ゆえに「ひまわり施療院」に飛び込むような母親の中には、仕事も、育児も、とがんばってしまう人が多かったのかもしれない。
  いずれにしても、田中先生にとって、「障害児の母親が働くこと」は、それほど珍しいことではなくなっていたようだった。私が密かに心配していた割には、ことはすんなりと進んでしまった。
  わたしのワーキングマザーとしての生活が、いよいよ始まろうとしていた。


(つづく)