MIYO'S WEBSITE - 全盲難聴のんたんの記録と卵巣ガン、そして旅日記。

超未熟児で生まれた後遺症で、全盲難聴(盲ろう)となったのんたん、双子の妹あみちゃんと共に楽しく生きる家族のお話です。
子どもたちは24歳になり、毎日元気に楽しく暮らしています。
卵巣ガンになって思ったことも、少しずつ書き始めました。
ベトナム日記は、
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ベトナム家族旅行:
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ベトナム・カンボジアを歩いた14日間 61 - タプローム① 西大門とシュイクンジー(奏でる人々)(2024年1月17日/6日め)

2010年7月26日 タプロームで。いっしょに演奏しました。(全盲難聴・のんたん 14歳/中3)


1月17日(日)- 6日め


この日は朝から、
4時間かけてアンコールワットを歩いたあと、
アンコールトムに行き、バイヨンを見学。
さらにトゥクトゥクで、プラサットスープラの
居並ぶ塔の間をつっきって走り、
アンコールトムからタプロームに行きました。


こんな感じで移動しています。2010年に家族で歩いた部分は、水色にしました。

タプロームの西大門です。ほかに南、北、東に同じような門があります。

この塔にも、四面に観世音菩薩が彫られています。観音さまの顔は、それぞれ、東西南北を向いていて、魔除けの役目をはたしています。

塔の真下から見上げた、観音さま。

これは、門をくぐって反対側から見た西大門です。

14年前に訪れたときの西大門です。このときは修復工事中で、周囲に足場が組まれていました。(2010年7月26日)

「タプローム寺院 西門」と書いてあります。世界遺産になってから、どの遺跡の前にもこのような石碑が置かれるようになったので、以前よりも見学しやすくなりました。^^


【タプローム】
2001年、映画「トゥームレイダー」の舞台となったことでも知られており、アンコール遺跡群の中では、アンコールワット、バイヨンとともに有名な遺跡です。タプローム寺院は、1186年に建てられました。アンコールトムを作ったジャヤヴァルマン7世が母の供養のために、菩提寺として
建てた、大乗仏教の寺院です。東西1000メートルで南北700メートル。往時は、奉納の踊りを踊る踊り子だけで600人もおり、僧侶などを合わせて1万人以上が住んでいたと言われています。現在では、上座部仏像のお寺に改宗されています。
寺院では、ガジュマルの巨木が遺跡の到る所に絡みつき、歴史と年月を感じさせる、独特の景観を呈しています。この木は、遺跡の発見当時からすでに生えていたのですが、今も成長を続けていてしていて、今にも遺跡を飲み込もうとしているかのようです。しかしその樹々が遺跡を支える存在にもなっており、木を撤去したら、遺跡自体が崩れてしまうとも言われています。


「トゥームレイダー」は2001年の作品で、主演はアンジェリーナ・ジョリーでした。(画像をお借りしました)

損傷が進んでいたタプロームの修復は、インドチームとの協力事業として実施されました。

石組みがずれて倒壊寸前だった門を修復し、基礎の石組みもすっかりきれいになっています。

そして、その隣りにあったパネルです。「アンコールでやってはいけないこと」が書かれていました。


・肌を露出した服を着ない。
・レリーフに触ったり構造物に座ったりしない。
・聖なる場所なので、大声を出さない。
・禁止されたところに登らない。
・喫煙しない。
・僧侶の同意なく撮影したり触ったりしない。
…というような、
まああたりまえのことが書いてあり、最後に、
「違反した場合は処罰されます。」
とありました。


その中に、とても心に残った一文がありました。


【子どもたちへの飴やお金】
子どもたちに飴やお金をあげないでください。

また、子どもたちから物を買ったりしないでください。
そのような体験をすることにより、

子どもたちは学校に行く気持ちをなくし、
物乞いをするようになります。
もしも子どもたちを助けたいと思ってくださるなら、
正規の募金箱を通じて支援してください。


すごいなあ…と思いました。
私がかねがね感じていた漠然とした思いを、
はっきりと言ってくれたような気がしました。


たしかに海外に行くと、外国人相手に、
土産物を売る子どもたちをよく見るし、
お金や物を欲しがる子どもも多いです。
そんな体験が一度もなかったのがビルマでした。
埃まみれのビルマ。バックパッカーの10日間 20 - ダマヤンジー寺院(1987年5月5日/5日め)。


たしかに、14年前のカンボジアでは、
観光スポットで遊ぶ子どもたちを
見かけることもありました。


14年前のタプロームで。遺跡に座って遊んでいた子どもたち。(2010年7月26日)

ガジュマルにぶらさがって遊ぶ女の子。かわいかった~。^^


でも、2024年に訪れたカンボジアでは、
どの遺跡に行っても、
子どもたちの姿は見ませんでした。
みんな、学校に通えるようになって、
遺跡で遊ばなくなったのかもしれません…。


このパネルからは、
少しずつ国が発展してきて、
「子どもたちをきちんとはぐくんでいきたい。」
と願う、カンボジアの人々の、
気概を見たような気がしました。


少し歩くと、東屋に座ってカンボジアの伝統音楽を演奏している人々がいました。ここは、「シュイクンジ―」と呼ばれているところだそうです。

演奏しておられるのは、地雷で足を失った方々です。

皆さんは、タプロームで音楽を奏で、募金をいただくことで、生計をたてておられます。

パネルには各国語で、「戦争障害者協会バンド」とありました。


私も夫も、とてもなつかしい気持ちで、
しばし、音楽に聴き入りました。


14年前、この同じ場所でやはり演奏しておられた、障害者の皆さん。この頃には、りっぱな東屋などはなく、木製の粗末なイスと布の日よけがあるだけでした。(2010年7月26日 長男 中3/15歳)


音楽を聞きつけた長男は、
吸い寄せられるように、
皆さんのところに近づいていきました。
MIYOといっしょにこの場所まで行くと、
太鼓奏者の方が、隣りに座らせてくださいました。
それが、上の写真です。
(動画から取りました。)


長男は、カンボジア音楽なんて
聞いたこともなかったのですが、
すぐに、皆さんの演奏に合わせて、
アドリブで太鼓をたたき始めました。


楽しそうな長男。😄


このときに夫が撮った動画を見てみると、
長男は楽しそうに、
太鼓をずっと叩き続けています。😄


長男は遺跡を見ることができないのに、
親の都合であちこちに連れまわして、
申し訳なかったな、
という気持ちは、今もあります。


でも、その場その場で、
ゾウに乗ったり、皆さんといっしょに、
演奏させていただいたりと、
さまざまなアクティビティを、
長男には体で感じてもらいました。
「あの頃はどこに行っても、
 『長男にも楽しめるものはないか』
 なんて、いつも探していたなあ…。」
と、なつかしく思い出します。^^


このときのこと、長男は覚えているかな…。
たぶん、覚えていないだろうなあ。
でも、すくなくともこの瞬間、
長男は楽しそうだった。
それだけでじゅうぶん、と思っています。


りっぱな寺院もさることながら、
私たちにとってタプロームは、
「長男が、みなさんといっしょに
 演奏させてもらった、思い出深い寺院」
として、特別な場所になっています。


西大門から西門へと続く道です。


皆さんが奏でる音楽を聴きながら、
木が生い茂る道をさらに進みました。


(つづく)

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