MIYO'S WEBSITE - 全盲難聴のんたんの記録と卵巣ガン、そして旅日記。

超未熟児で生まれた後遺症で、全盲難聴(盲ろう)となったのんたん、双子の妹あみちゃんと共に楽しく生きる家族のお話です。
子どもたちは24歳になり、毎日元気に楽しく暮らしています。
卵巣ガンになって思ったことも、少しずつ書き始めました。
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ベトナム家族旅行:
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定年でもベトナム。ハノイで始める、お仕事日記 129 - なんちゃって少数民族(2019年10月19日/49日め)

2020年1月1日 明けましておめでとうございます。


毎年恒例の、我が家の年賀状です。^^
年々、作るのが遅くなり、今年はとうとう、お正月になってから作り始めました。
…というわけで、1月2日になってしまいましたが、
今年もどうぞよろしくお願いいたします。


10月19日


さて、巨大な「フォトスポット&テーマパーク」となりさがった、
カットカット村。
その結果、この村では、不思議な景観が
見られるようになりました。
それは、
コスプレの女性軍団
です。


村の入り口に並んでいた、
無数の衣装屋さんがなんだったのか、
ここで初めて、理解できました。


この村に来る人たちの目的は、
「貸衣装屋さんで、不思議な民族衣装を借りて、
 そのコスプレで村を練り歩き、
 とにかく写真を撮りまくる。」
ということだったのです。


なので、私の夫のように、
「とにかく少数民族が大好き。
 少数民族の村に行きたい。」

というような人がこの村に行くと、
大きく落胆することになります。
そのような人たちが期待しているものは、
この村にはなにひとつないからです。


これから、
「サパで少数民族の村を訪ねたい」
と思っている方は、
カットカット村に行くのは、
やめた方がいいと思います。
ここはもはや、「少数民族の村」ではありません。


ただし、
「観光化によって、
 貴重な少数民族の村が
 どれだけ破壊され、
 デフォルメされていくか。」
という、その一例を見てみたい、と思われるなら、
行く意味はあると思います。^^


私について言えば、
色とりどりの、「なんちゃって民族衣装」を着た、
国籍不明の女性たちを見るのは、
なかなか楽しい体験でした。^^


ここに来る女性たちのほとんどは、
「少数民族について知りたい」
なんて、これっぽっちも思っていません。
彼女たちが考えていることと言えば、


「カットカット村に行って、
 きれいな衣装でコスプレして、
 写真を撮って楽しみたい。」


たぶん、これだけです。
それはそれで、悪いことではないと思います。
旅の楽しみ方は、人それぞれ、ですから。
そしてこの村は、そんな人たちのための村ですから。


なんだかんだと書きましたが、
村が破壊されたことを嘆いたり、
なんちゃって民族衣装を着て歩く女性たちを非難したり、
…なんてことをするつもりはありません。


最後に、MIYOの求めに応じて、
快く写真を撮らせてくださった、
数々の女性たちにも、感謝したいと思います。


それではここで、
大コスプレ軍団の皆様の写真をご覧ください。


こういう女性が、何百人もいるわけです。すごいです。「借りる人」がいるから、「貸す人」がいる。もうかるから、他の人も貸衣装屋を始める。…まあ、そんなことだと思います。

黄色い花をバックに、黄色い衣装の女性。後ろの女性に比べれば、どちらが映えているかは、一目瞭然です。

赤く飾られた樹の下に立つ、赤いドレスの女性。さぞかしいい写真になったことでしょう。

傘まで同じ色でコーディネイト。

こういう創作衣装が出回るというのは、民俗学的に言えばとんでもないことかもしれませんが、まあ、コミケのコスプレみたいなものと思えば、なんとなく、納得せざるを得ません。笑

右のほうに見えている庵も、すべて撮影用です。山をバックにして、いい写真が撮れるんですよ。^^


いかにも、いかにも、それらしい感じの、素朴な庵が並びます。

実はこれも、インスタ狙いで作られたフォトスポットです。MIYOが撮っても全然インスタ映えしませんが。笑

写真撮影用のやぐら。素朴な感じに撮るため、わざと粗末に作ってあります。^^

こういう、撮影のためのコーナーが、延々と並んでいます。ちょっとインドネシア風? もう、民族も国籍もむちゃくちゃですね。笑

村の名所となっている滝があるのですが…、

彼女たちが撮るとこうなります。あー、なんか楽しそうですね。^^

カップルもこのとおり。^^

私的に言わせていただくと、一応、この女性の帽子は中国・サニ族風で、下の服は民族が違う。リス族みたいなエプロン? さらに男の子の服はアカ族みたいだけど、アカ族はこんな帽子はかぶりません。…ってことで、「なんちゃって少数民族」のかたまりなんですが、こうしていると、なんとなくそれらしく見えちゃうんですよね…(苦笑)。

メイクコーナーとなっているテント。赤いジャージの女性はメイク屋さんで、有料でメイクをしてくれます。たしかに、ふたりともきれいになっていますね。^^

ガイドの女性とその友人。ふたりとも黒モン族です。右の女性の背中には赤ちゃんがいました。ここではっきり言っておきます。これこそが、正統派の、本物の黒モン族の衣装です。(なぜかムキになっているMIYO。笑)

屋台では、こんなものを売っていました。

村のはずれの家で、孫を抱く男性。おそらく、カットカット村で店を経営している人のご家族だと思います。


ハノイに戻ってから、
この村で見たことをローさんに話しました。
すると、ローさんがおしえてくれました。


「カットカット村には、
 もう黒モン族は住んでいません。
 たくさんの店があるけど、
 経営しているのは、全部、ベト族です。
 あそこはもう、少数民族の村ではありません。」


やっぱりな~…。


ちなみに、大コスプレ軍団の国籍は、
ベトナム人、中国人、韓国人でした。
日本人は私たちだけだったので、
サンプルにはなりません。笑
コスプレしている欧米人は、ゼロでした。


30年前、私たちが訪ねて歩いた、
桃源郷のような村の数々を、今も思い出します。
当時は、どの村に行っても、
なんにもありませんでした。
「色とりどりの衣装を着た少数民族の人たちが、
 ただ普通に暮らしているだけ」
だったのです。


村の子どもたちは、私たちの姿を見かけると、
恥ずかしがって隠れていました。
そのくせ、こっそりと、
後をついて歩いてくるのです。^^


あのころの山岳地帯の村には、
ほんとうに、なんにもありませんでした。
けれど私たちは、
「そこで暮らす少数民族の人々に会えたこと」、
ただそれだけで、感動していました。


あんな村にまた行きたいと思っても、
現在はもう、世界のどこにも、
そんな村はないのかもしれません。


(つづく)

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