17年めのタイ。8人で食べ歩いた、3泊5日のおトク旅 34 - 長男の「おみやげ」(2019年5月12日/4日め)
2019年5月12日 バンコク伊勢丹に行きました。(長男が着ているTシャツは、2017年6月の台湾旅行で買ったおみやげです。)
5月12日
突然、長男から
「おみやげ・・・」
と言われて、戸惑ってしまった、私たち。
でもすぐに、意味がわかりましたよ。^^
私「のんたん、おみやげを、買いに行きたいですか?」
の「はい!」
私「だれに、買いますか?」
の「・・・。」
私「しゅん君と、S園のせんせいに、買いますか?」
の「はいっ!!^^」
長男は、高校を卒業するまで、自宅にいました。
そのころの長男は、「おみやげ」と言うことばを、
(たぶん)理解していませんでした。
知る機会がなかったからです。
長男が、誰かにおみやげを渡す必要があるときは、
長男の代わりに、私が勝手に買い、
お渡ししていました。
(これが、いけなかったのです。汗)
おみやげを買うのも、差し上げるのも、
長男の知らないところで行われるのですから、
全盲・難聴の長男には、わかるはずがありませんでした。
けれど、S園で生活するようになってからは、
状況が変わりました。
S園では、毎年、2泊3日の日程で、旅行にでかけます。
旅先で、長男は必ず、
先生といっしょに「おみやげ」を買います。
そして、自宅に住む私たちに、
宅配便で送ってくれるようになりました。
2018年6月24日 二泊旅行のおみやげだよ!
初めて、長男の名前で宅配便が届いたときは、
それはもう、驚きましたし、うれしかったことを、
今もよく覚えています。
もちろん私たちも、おみやげのお礼を、
長男に伝えることを、忘れません。
そんなことを、毎年繰り返しているうちに、
いつのまにか長男は、「おみやげ」ということばを、
理解したんですね。^^
「旅行に行ったら、『おみやげ』を買って、
好きな人にあげるものなのだ。」
・・・と。
まさに、「経験」は、なににもまして、貴重な学習です。
今回、飛行機に乗って、タイまで来たことを、
長男は、「旅行」という言葉で、
理解できるようになっていたのでしょう。
そして、
「『旅行』に来たのだから、
『おみやげ』を買うんだよね?」
と、考えたんですね・・・。
すばらしい!!^^
長男が認識できる世界が、
こんなふうに広がっていたのだな、とわかり、
胸が熱くなりました。
そんな長男に向かって、
「日本に持って帰るおみやげは、
2日前に、スーパーで全部買ってあるから、
もう、買いに行く必要はないよ。」
と説明することは、意味がないように思いました。
きっと長男は、混乱することでしょう。
「自分はお店で買っていないのに、
どうして『おみやげ』が、既にあるのだろう?」
と思うはずです。
長男にとっては、
自分で買って、自分で相手に贈ってこそ、「おみやげ」
なのですから。
なので、長男に言いました。
「わかった、のんたん。
これから、おみやげを買いに行こう!」
行き先は、伊勢丹です。
京ロールのお店を出て、伊勢丹に続く通路を、
4人でぞろぞろと、歩きました。
伊勢丹に到着!
エスカレーターに乗って、5階まで上がり、
いちばん奥にある、「フードマーケット」に直行です。
伊勢丹のフードマーケット。
さっき来たときに、
バンコクのお土産を売るコーナーを、
見つけていました。
そのコーナーには、
長男にもわかりやすいお土産が置いてあったので、
それを買おう、と決めていました。
これです。^^
タイ限定「コアラのマーチ」
これ、ずっと前に、私の職場で撮った写真です。笑
同僚が、タイ出張のお土産に、と買ってきてくれたのですが、
箱がおもしろいので、写真に撮っていました。
その、同じ物が、「フードマーケット」に置いてあったのです。^^
ここで大事なのは、
「ドライマンゴー」とか、「ココナッツカレー」とかではなく、
「コアラのマーチ」である、ということです。^^
長男が聞いても、よくわからないような品では、
長男にも、「おみやげを買う」という実感が、
わきにくいと思うのです。
その点、「コアラのマーチ」なら、
わかりやすいですよね。^^
長男に、箱を触らせて、言いました。
「のんたん、コアラのマーチだよ。おかし、だよ。」
長男は、真剣な表情で、私のことばに、耳をすませています。
「味がね、ふたつあるよ。
こっちが、チョコレート。
こっちが、マンゴー、だよ。」
コアラのマーチだよ!
タイ限定コアラのマーチ(チョコバナナ味)
タイ限定コアラのマーチ(マンゴー味)
そこまで言うと、長男は、
「チョコレート! チョコレート!!」
と。笑
「どっちにしますか?」
と訊くつもりだったのですが、
その言葉を言うまでもなく、即決でした。
「そう。じゃあね。
チョコレートのは、しゅん君に買おうね。
しゅん君といっしょに、わけわけして、食べようね。
マンゴーのは、S園の先生にあげようか?」
と言うと、長男、
「はいっ!!!」
と、元気なお返事。^^
箱の中には、ミニパックが7個入っています。こんなお菓子が小分けされています。
長男に、「コアラのマーチ」を2箱、持ってもらって、
いっしょにレジまで歩きました。
レジでは、長男に、
「これください。」
と言ってもらい、
クレジットカードも、長男から渡してもらいました。
コアラのマーチ、1箱が、95バーツ(335円)です。
2箱で、190バーツ(670円)。
家族旅行は、これまでにたくさんあったけれど、
これは、私たちの目の前で、
長男が自分の意思で買った、
初めての、「おみやげ」でした。
この「おみやげ事件」は、
「長男の世界が、また少し、広がっていたのだな」
ということを、私たちに教えてくれました。
全盲・難聴の長男にとって、
育っていく中で、自然にことばを覚えていくということは、
難しいことでした。
今でも、長男は、様々な経験をとおして、
新しいことばを獲得中です。
そんな長男に、S園は、5年もかけて、
「おみやげ」ということばの意味を、
おしえてくれたのだと思います。
なによりうれしかったのは、
旅行先で、長男が自然に、
「だれかにおみやげを買いたい。」
という気持ちを持つようになった、ということでした。
支払いを終えて、
袋に入れた「コアラのマーチ」を受け取ったとき、
うれしさが、こみあげてきました。
S園に、感謝です。
購入した「コアラのマーチ2箱」を、長男のリュックに入れました。そのまま日本まで、自分で持ち帰ってもらいました。
無事、長男の「おみやげ」を購入できて、
なんだかひと仕事を終えた気分です。^^
このあとも、伊勢丹でもう少し遊びました。
日本のデパートと全く変わらない、高級菓子売り場。
大判焼きも、ありますよ。^^
海老せんべい売り場には、五月人形が飾ってありました。
宗家 源吉兆庵の、福渡せんべい。
バンコクの人たちも、日本のお菓子が大好きみたいです。
長男が興味を示したので、オーディオショップでしばし遊びました。KEFという、英国メーカーのスピーカーが、いい音をだしていて、長男は興味津々。スピーカーにはりついて、真剣な顔で聴いている長男です。^^
「電気屋さんみたいだねえ!」と、長男。正解です。^^
私と長男が、オーディオショップで遊んでいる間、
夫は、少しだけ、セントラルワールド内を散策しました。
そして、長女は、
休憩スポットで、のんびり、まったり。^^
ちょっと変わったデザインの休憩スポット。
それぞれが、セントラルワールドを楽しみ、
そして、次の目的地へと向かいました。
(つづく)
(おまけ)
2017年の、「にはくりょこうのおみやげだよ」は、こちらです。
2017年6月 にはくりょこうのおみやげだよ