新緑の鎌倉から伊豆高原へ 14 - 旧依田邸③ 道具蔵(2026年5月12日/2日め)

2026年5月12日 旧依田邸・道具蔵で。(静岡県賀茂郡松崎町)
5月12日(火)- 2日め
静岡県松崎町にある、旧依田邸に来ています。
ここまでで、
出入口を入って主屋を歩き、
その後は、離れの中に入りました。
離れを出て、ここからは蔵を歩きます。左が離れで、右が蔵です。

蔵は、庭をはさんで主屋の反対側にあります。

その、蔵の前に立ってながめた主屋。日本昔話にでてきそうな雰囲気。^^

さて。
旧依田邸の蔵のエリアですが、
3つの蔵が並んで建てられていて、
三連蔵(さんれんぐら)になっています。
蔵3棟はすべて2階建てで、
つながった構造になっています。
幕末に建てられた3棟の蔵の見どころは、
もちろん、壁面のなまこ壁です。
手前から、道具蔵、米蔵、味噌蔵と続きます。壁面全部が、なまこ壁。すばらしい。😊

【なまこ壁】
日本の伝統的な仕上げ技法で、主に土蔵や町家の外壁に使われます。壁に平瓦を並べて貼り、その継ぎ目である「目地」の部分に、漆喰をかまぼこ形にこんもり盛り上げて塗った壁のことをいいます。この盛り上がった白い線が、海にいるナマコが並んでいるように見えるので「なまこ壁」と呼ばれるようになりました。黒っぽい瓦の四角形と、白い漆喰の太い格子模様とが、はっきり対比して見えるのが特徴です。
【なまこ壁の役割】
なまこ壁は、見た目の装飾だけでなく、もともとは実用性を重視して発達しました。
防火:
土や瓦、厚い漆喰で木部を覆うため、火が燃え移りにくくなります。
防水・耐久性:
瓦と漆喰で雨をはじき、土蔵の土壁を守ります。
補強:
瓦と漆喰の組み合わせで外壁が補強され、傷みにくくなります。
【伊豆地域のなまこ壁の特徴】
方形の瓦を斜めに貼る「四半目地」というやり方がよく見られます。これは、雨水が流れやすく、水はけを良くするためとされています。
これまでにブログに掲載した、なまこ壁です。下田・ペリーロードにあるバール。なまこ壁の古民家を利用しています。
このときの日記です。
下田にも行ってごめんなさい。②(2020年5月30日/2日め)

下田市の旧澤村邸です。1915年(大正4年)に建てられた家屋で、澤村家より市に寄贈されました。1985年に、下田市の歴史的建造物に指定されています。
下田にも行ってごめんなさい。③(2020年5月30日/2日め)

下田のお土産物屋さん「豆州庵」。
下田にも行ってごめんなさい。⑤ 豆州庵(2020年5月30日/2日め)

旧依田邸のこれだけ華々しいなまこ壁は、
下田で見て以来なので、
なつかしくて、ワクワクしました。^^

ずうっと続く、なまこ壁。楽しい。😊

まずは、向かって左端にある、道具蔵から見て行きます。

道具蔵の入り口手前にある壁面。離れに面した部分です。

実はこの壁面に、
もうひとつの見どころがあります。
それはこの壁面の上部にあるのですが、
このときは工事中で、上部が覆われており、
見ることができませんでした。残念。
ほんとうは、これが見えたはず。道具蔵西妻下に、依田家の家紋である(橘)が描かれているのです。入江長八の作と伝えられる、漆喰鏝絵(こてえ)です。(松崎町から)

「鏝絵(こてえ)」という文字、
何年ぶりかで見ました。
【鏝絵(こてえ)】
左官職人が「鏝(こて)」を使って、漆喰を壁面に盛り上げて作る、レリーフ状の装飾です。土蔵やなまこ壁、寺社や蔵の妻壁などに多く見られます。江戸時代以降、防火のために土蔵造りが広まる中で、蔵を飾る装飾として発達しました。伊豆松崎出身の左官職人「入江長八」は、漆喰と色彩を組み合わせた高度な鏝絵を描いたことで知られており、以後各地に彼の技が広まりました。
鏝絵の第一人者と言われる、
入江長八の鏝絵が、
ここにあるんですね…。^^
長八は、1845年(弘化2年)に、
郷里の浄感寺改築に加わるため、
松崎に来ています。
旧依田邸に今も残る鏝絵は、
この頃に施したのではないか、
と考えられています。
初めて「鏝絵」という言葉を知ったのは、2021年。札幌の豊平館に行ったときでした。
そのときの日記です。
コロナでもウポポイ3。札幌2週間ホテル暮らし 20 - 豊平館① / プラチナチャレンジ、その後(2021年11月5日/3日め)

館内の見どころは、いくつもの「天井中心飾(メダリオン)」。シャンデリアが取り付けられている部分に施される装飾です。漆喰を盛り付け、こてで立体的に仕立てていく「鏝絵(こてえ)」は、左官の技量が問われる芸術品でした。

このとき私の中で、依田家の道具蔵と、
札幌豊平館の思い出が重なりました。
こんな風にして、旅をすればするほど、
その楽しみ方は、少しずつ、
すそ野を広げていくように感じます。
スミマセン。
脱線ばかりで、なかなか先に進みませんね。😔
道具蔵の内部です。 幕末に建てられたもので、農具や生活用具を収蔵していました。





二階へと続く、箱階段。ですが、階段の裏側になにかありそうです。

箱階段の後ろにあったのは、なんと浴室。なまこ壁の浴室、初めて見ました。笑

ここでようやく気がつきました。
この「旧依田邸」は、
かつて宿泊施設であったのだと…。
あとで係の方に確認したところ、
やはり想像どおりでした。
【旧大沢温泉ホテル】
「旧依田邸」は、かつて宿泊施設でした。依田家は、江戸時代の庄屋屋敷を改装し、1961年(昭和36年)から「大沢温泉ホテル依田之庄」を営業していたことが、松崎町の公式サイトに記されています。
一時は4億円台の売上高を計上し、安定した利益を得ていましたが、その後は次第に客足が鈍化。採算面が悪化するなか、2011年の東日本大震災を受けて、業績はさらに低迷。その後破産決定となりました。が、2017年に松崎町が不動産を買い取り、「旧依田邸」として一般公開しています。
静岡では、老舗を含め、温泉旅館の破産が相次いでいます。映画「テルマエ・ロマエ」のロケ地となった「大滝温泉天城荘」を経営していた天城自然公園株式会社も、民事再生法の申請を行ったそうです。
道具蔵の二階部分です。太い梁などを残したままで改装し、ホテルの客室として使用されていたことがうかがえます。

隣りの部屋へ行ってみます。

営業を終了して9年だそうですが、きれいに維持されていて、いまでも宿泊できそうですね。^^

窓から、「離れ」の屋根が見えました。

鬼瓦にも、依田家の家紋が施されています。

こちらにも、依田家の鬼瓦。^^

道具蔵の二階から見下ろした、主屋。

今も丁寧に維持されている、
旧依田邸。
宿泊施設として、まだまだ使えそうです。
星野リゾートさん。
ニッポニアさん。
なんとかなりませんか?😅
いまここ。😊

次回は、お隣りの米蔵を歩きます。
(つづく)