コロナでも滋賀県。湖の国(うみのくに)を歩く、3泊4日のおトク旅 22 - 外村繁邸①(2020年9月24日/3日め)
2020年9月24日 五箇荘・外村繁邸で。
9月24日
湖の国を代表する作家と言われる、
外村繁のお屋敷に来ています。
外村邸は、呉服業で財を成した、
近江商人の屋敷です。
外村家はたいへんな豪商で、
全国長者番付にも名を連ねていたそうです。
外村繁は、この家の三男として生まれ、
家業を継ぎました。
が、文学への夢が捨てきれず、
数年後、弟に家業を託して、
作家活動に専念します。
近江商人を題材にした小説や
自らの人生をつづった、
数多くの作品を残しました。
屋敷の奥にある蔵は、
「外村繁文学館」として、公開されています。
第一回芥川賞の候補にもなった繁の、
作家としての人生を知ることができます。
外村繁邸・玄関。
玄関を入ると土間があり、右手には、数部屋分もの座敷が広がっています。屋敷内の随所で、現代絵画の展示も行っていました。
私たちの気配を察して、
奥から係員さんが出てこられました。
ここで、入館料を払います。
5館共通入館券を買ってみました。
5館共通入館券(1000円)
まずは、係の方の案内で、
土間の奥に続く台所を見学しました。
広い台所です。火処はふたつ。その奥に井戸と流しが見えます。
火処(おくど)。
井戸と流し。
台所の右手に、お風呂もありました。
おもしろかったのは、井戸の横に設置されている、「風呂水槽」です。この風呂水槽は、地下の水路を通じて、お風呂とつながっているのです。井戸の水を汲み、この風呂水槽に流し入れると、風呂釜の中に水が送られる仕掛けになっていました。
近江商人は、一年の大部分を、
行商に費やしました。
自宅を留守にすることが多く、
その間、家の中は、
妻が守らねばなりませんでした。
「自分が留守のあいだ、風呂の水運びで、
妻が苦労しなくてすむように…という、
当主の配慮だったのかもしれません。」
と、係の方が説明してくださいました。
さらに、台所から裏庭に案内していただきました。
信楽焼のたぬきさん。五箇荘のたぬきは、一般のものと少し違っています。
「五箇荘のたぬきには、意味があるんです。
何事も太っ腹で、そして、
目を大きく開けて、世の中を見るように。
…そう教えてくれているのです。」
おもしろいですね。^^
中庭の半分を占める蔵。五箇荘の蔵は、「内蔵(うちぐら)」です。蔵の出入り口は家の中にあります。つまり、家と蔵がつながっているのです。
「それでは、家の中を、
どうぞご自由にご覧ください。」
と言われ、お屋敷の中に戻りました。
本当に広いです。写真の階段を上がって、2階を見ることもできます。
裏庭と反対側に広がる、見事な庭園。
外村繁が執筆していた部屋。
髪結の間。今でいう、パウダールームですね。^^
さらに奥へと進むと、つきあたりに、内蔵の扉があります。これは、さきほど中庭で見た蔵です。こんなふうに、あたかも家の中のひと部屋であるかのように、家と一体になった蔵が造られました。
次回は、外村繁邸の蔵の中を歩いてみます。
(つづく)