MIYO'S WEBSITE-全盲難聴のんたんの育児記録と卵巣ガンで思ったこと

超未熟児で生まれた後遺症で、全盲難聴(盲ろう)となったのんたん、双子の妹あみちゃんと共に楽しく生きる家族のお話です。
子どもたちは21歳になり、毎日元気に楽しく暮らしています。
卵巣ガンになって思ったことも、少しずつ書き始めました。

全盲難聴・のんたん 5回目の、東京都障害者スポーツ大会③ - ボール投げなら、ドン、ドコ、ドーン!(2018年6月2日)

2018年6月2日 障害者スポーツ大会で。ボールを投げる前に、立つ位置と投げる方向をおしえてもらいます。(全盲難聴・のんたん 21歳)



長男、投球位置についたのですが、
ボールを持った姿勢で、かたまったままです。
なにが起こったのだろう?
と、みんなが見守っています。
でも私は、すぐに気がつきました。^^


係の方からボールを持たされて、
「どうぞ」
と言われたのですが、
それが、長男には伝わらなかったようなのです。


長男はこれまで、「どうぞ」と言われてなにかをやる、
ということが、あまりなかったように思います。
ここでも、「どうぞ、ボールを投げてください。」
と、具体的に言っていただければよかったのですが、
初対面の係員さんには、それがわかりません。


長男は、状況が理解できず、
ボールを持ったままの姿勢で、かたまってしまいました。
「どうぞ」とだけ言われても、なにをすればいいのか、
長男には伝わらなかったのです。
係員さんも、困ったようすです。


ボールを投げるときには、3つのステップを踏みます。
 ①前にある、左足に重心をかける。
 ②後ろにある、右足に重心をうつす。
 ③その反動で、再び左足に重心を移し、ボールを前に向かって投げる。
です。
私たちはこれを、ごくあたりまえに、やってしまいます。


ですが長男は、生まれてから一度も、
「だれかがボールを投げるようす」を、
見たことがありません。
自分の手から離れたボールがどうなるかも、
見たことがありません。
なので、長男は、「物を投げる」ということを、知りません。


そんな長男が、スポーツ大会の、
それも、「ソフトボール投げ」に出場したわけです。
つまり、実はこれ、
長男にとっては、かなり難易度の高いことでした。^^


もちろん、競技に出場するにあたって、
S園の先生は、長男といっしょに、
ボールを投げる練習をしてくださいました。


その練習のとき、先生は長男の手をとり、足をとり、
「ドン、ドコ、ドーンのリズムでやろうね。」
と、おしえてくださったと、何年か前に聞いたことがありました。


そう。
長男の好きな、たいこの音です。
「ドン、ドコ、ドーン」のリズムに合わせて、
3つのステップを練習したわけです。
そのおかげで、長男は、これまでの4回のスポーツ大会でも、
無事にボールを投げることができたのです。


目の見えない長男が、ボールを投げる・・・。
そのようすを見るだけで、
私も夫も、毎年、感動していました。


そうだ。あれだ。
と、私は気がつきました。


どうなることか、と、みんなが黙って見守る中、
私は、大声で叫びました。
長男に聞こえるように。


のんたーん、ドン、ドコ、ドーン、だよ~。
ドン、ドコ、ドーン!!
ドン、ドコ、ドーン!!


私の声が、長男に届いたようです。
そのとたん、長男は、状況を理解しました。
すっと体を動かし、
前に向かって、ボールを投げてくれました。


やった~!!
のんたん、じょうっず~!!


うるさい、母です。(爆笑)


ドン、ドコ、ドーン、のリズムで。まずは、「ドン」。

「ドコ」

「ドーン」で投げました。係のみなさんもほっとされたようで、拍手が起こりました。^^

2回目も行くよ! 「ドン、ドコ、ドーン!」

白い旗が上がりました。成功です! 

3回目も、無事に終了。


こうして長男は、練習1回、本番2回の、合計3回の投球を、
今年も無事に終えることができました。
ほっとしました。


「ボールの投げ方」を、長男にもわかるように、と。
「ドン、ドコ、ドーン」で教えてくださった、
S園の先生に、感謝です。^^
まさか、私がそれを、大声で叫ぶことになるとは、
思ってもいませんでしたが。(爆)
(ちょっとはずかしかったですが、長男のためには、
 はずかしいなんて、言ってられないわけです。)


いや~ 見に来てよかったです。
もしも私が「ドン、ドコ、ドーン」と大声をあげなかったら、
長男は、最後まで状況を理解できず、
そのまま、「棄権」となってしまっていたかもしれません。


一時はどうなることか、と思いましたが・・・。
ボールを3回投げるだけでも、
楽しませてくれる、長男なのでした。^^


ソフトボール投げは、無事終了。後ろは、メダルをもらっているみなさんです。
長男には、母が、「よくできました賞」をあげます。^^

「のんたん、上手だったね!すごいねえ!」とほめられて、うれしそうな長男。^^

「ドン、ドコ、ドーン、だったね! よく思い出したね!」と言うと、その声に合わせて、ボールを投げるしぐさを、やってみせてくれました。「ドン、ドコ、ドーン!」


やれやれ、ひとつめの種目「ソフトボール投げ」が終わりました。
次は、お弁当の時間です。
そして、休憩のあと、
いよいよ、ふたつめの種目に挑戦します。^^


(つづく)

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