のんたんの冬休み-42 おいしいものを食べる、ベトナム8日間おトク旅 - 怒りのぼけタクシー(2017年12月27日/4日め)
2017年12月27日 ブン・ボー・フエの食堂で。(のんたんとあみちゃん 22歳)
12月27日
とにもかくにも、ブンボーフエのお昼ごはんを食べ終え、
この日のメインイベント、「王宮」へ行くことにしました。
雨の中、食堂の前で、しばしたたずんでいると、
一台のタクシーがやってきました。
早速乗り込み、王宮へ。
渋滞もなく、10分ほどで、タクシーは王宮に到着しました。
料金を支払い、タクシーを降りて、
王宮の方へと歩き始めたのですが、
なにか、へんです。
一大観光地にしては、私たち以外に観光客がいないし、
「入り口」も、ドアが一枚あるだけで、
あまりにもちゃっちいのです。
その場にいた係員らしき人にきいてみると、
「ここは通用口。観光客は、正門に行ってね。」と。
タクシーのドライバーが、間違えたのです。
も~ と思って振り返ると、
幸い、そこにはまだ、
同じタクシーが停まっていました。
「ここじゃないよ。まちがってるよ。」
と言うと、
「乗れ」
と。
ということで、再び同じタクシーに乗り、
正門へと向かうことになりました。
でも、なにか、気になります。
そこで、夫に言ってみました。
「あのさ、まさか、この、2回めのタクシー代も、
うちが払うわけじゃないよね。」
はじめから正しい場所に行っていれば、
それですんだことです。
まちがえた場所に連れて行って、
そこから正しい場所に移動する費用も払うということは、
タクシー代を2倍払う、ということです。
折からの雨で、気持ちが下がっているところに、
さきほどのブンボーフエ食堂での怒りが、
まださめていない私。
ドライバーのミスを、
笑って流すような気持ちには、なれませんでした。
夫はと言うと、
「でも、2回乗ったことは確かだし。」
「彼もわざとまちがえたわけじゃないし。」
「たいした金額じゃないし…」
と、思いつく限りの「いいわけ」を、ぽつぽつと話し始めました。
そう。「2回目も払うための」いいわけ、です。
「あなたね。そんなに、お金を2倍払いたいの?
他人には優しいわねえ!
その優しさで、自分のこどものごはんくらい、
手伝ってほしいものだけどね!」
と、おもいっきり、皮肉を言っちゃいました(爆)。
夫、黙るしかありません。
夫は夫で、
「こんなことで、ドライバーともめたくない。」
と思っていたようです。
たしかに、日本人の感覚から言えば、
たいした金額ではないかもしれません。
だから、さっさと払ってすませたい、
と思ったのでしょう。
でも、
「納得のいかないお金は、
少額であっても払いたくない」
と、私は思っていました。
「もし、このタクシー代払ったら、
許さないからね。」
私のこのことばを最後に、
夫も長女も黙ってしまいました。
重苦しい空気の中、タクシーは、
目指していた「王宮の正門」に到着しました。
今度こそ、本当の「正門」です。
ドライバーは、当然のように、
代金を受け取ろうとしたのですが、夫は、
「払わないよ」
とだけ言い、
さっさと車を降りて、逃げて行きました。
タクシーの中に、私と子供達を残して。😮
後部座席にいた私たちも、
ぐずぐずしてはいられません。
あわてて、子どもたちといっしょに、車を降りました。
ドライバーは、なにかをしきりとまくしたてましたが、
ベトナム語なので、わかりません(苦笑)。
たぶん、「払え」と言っているのでしょう。
そこで、言いました。
「あなたが間違っただけのことでしょう。
私たちのせいじゃない。
だから、2回目の分は、払わないわよ。
文句があるなら、警察を呼びましょう!」
大きな声できっぱりと言いました。
ここで「大きな声」で言ったのは、
まわりに居合わせた人たちにも聞こえるように、
という意図がありました。
ほんとうは少しこわかったのですが、
左手で長男を手引きし、右手で長女の手を持って、
堂々と、歩き始めました。
長女は不安そうにしていましたが、
「振り向いちゃだめよ。
おどおどしないで、しっかりと歩きなさい。」
と私に言われ、ついてきました。
3人で並んで歩きながらも、
追いかけてくるかな、と、
内心は、はらはらしていました。
でも、私たちに払う意思がないことを、
理解したのでしょう。
ドライバーは、あっさりとあきらめて、
そのまま、行ってしまいました。
つまり、2回目の代金を、払わなくてすんだわけです。
ちょっとかわいそうな気もしましたが、
遠ざかっていく車を見ながら、ほっとしました。^^
帰国後、ずいぶんあとになってから、
このときのことを、家族で話し合ったことがあります。
「私ね。あとになればなるほど、
思うことがあるんだけど。
あのときのドライバーって、
わざと違う場所に連れて行ったんじゃないか、って。」
わざと違う場所に連れて行き、
「ここじゃないよ」と言われてから、
正しい場所に連れて行けば、
一回の依頼で、2倍稼ぐことができるわけです。
「そういえば…」
私のことばに、
夫と長女も、それぞれに話し始めました。
「普通なら、タクシーは、
お客を降ろしたらすぐに行ってしまうはず。
でも、私たちが引き返してみると、
タクシーはその場にいた。
もどってくるのを待っていた(のかもしれない)。」
「フエ最大の観光地である王宮の正門の場所を、
地元のタクシーが間違えることって、あるだろうか。」
「だまそうと思ってわざとやっていることなので、
私たちが支払いを拒否し、
『警察を呼ぶ』と言ったら、
ちっ と思うだけで、すぐにあきらめて、
行ってしまったのかもしれない。」
そう。
考えれば考えるほど、
あれは「わざと」だったんじゃないか、
と、3人の考えが一致しました。
「だとしたら、
あそこで、タクシー代を2回も払ったら、
私たちって、
本当におおばかやろうだったわねえ!
誰よ。『払ってあげようよ』なんて、
おめでたいことをくどくど言ってたのは。」
私に、嫌みを言われ、
返す言葉もない、夫なのでした。
(つづく)
雨に濡れる、王宮の正門。堂々たるたたずまいです。
ここと、通用口を間違えるタクシーって、ありえないですよね。^^
シクロです。本当は、タクシーよりも、こっちの方が好きです。チャリンコタクシー!^^