MIYO'S WEBSITE - 全盲難聴のんたんの記録と卵巣ガン、そして旅日記。

超未熟児で生まれた後遺症で、全盲難聴(盲ろう)となったのんたん、双子の妹あみちゃんと共に楽しく生きる家族のお話です。
子どもたちは24歳になり、毎日元気に楽しく暮らしています。
卵巣ガンになって思ったことも、少しずつ書き始めました。
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ベトナム家族旅行:
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のんたんの冬休み-41 おいしいものを食べる、ベトナム8日間おトク旅 - 怒りのブン・ボー・フエ(2017年12月27日/4日め)

2017年12月27日 ブン・ボー・フエを食べました。(全盲難聴・のんたん 22歳)


12月27日


空港まで迎えに来てくれたチュンさんが、
フエ市内の地図をくれました。
さらに、その地図に、
「ブン・ボー・フエのおいしいお店は、ここです。」
と、印をつけてくれました。
そこで、まずはここで、お昼ごはんを食べよう、ということになりました。


雨が降るフエの街を、迷いながら歩きましたが、
どうにか、見つけることができました。
「ブン・ボー・フエ」という名前のお店です。



中は、こんな感じです。


ブンボーフエとは、米粉のスープ麺に牛肉がはいっている料理です。
「ブン」はビーフン、「ボー」は牛を意味し、
「フエ風の牛肉汁ビーフン」という意味です。
まあ、「フエの牛肉うどん」ですね。^^


スープのだしは、レモングラス、フエ産の塩辛、豚足、牛肉などから取り、
ベトナム風の蒲鉾や牛の腿肉などの具がはいっています。
このお店では、野菜を盛った皿と共に供されましたが、
はじめから、麺に野菜が盛ってあるお店もあるそうです。


「酸っぱくてピリッと辛いのが特徴」だそうですが、
私たちが食べたものは、それほど辛くなく、
おいしく食べられました。



おいしかったんですが・・・。
米の麺は、つるつると箸からすべりおちてしまい、食べにくいんです。


私たちなら、どうということもないのですが、
長男には、この麺を食べるのは、かなりたいへんでした。


長男は、「麺をすする」ということを、知りません。
私たちが、「ずずっ」と音をたてて、麺をすする行為。
「あれは、赤ちゃんのときから、大人たちがやるのを見て、聞いて、
 自然に覚えていくことなのだ。」
と、長男を育ててみて、初めて知りました。


他の人がやっているのを見ることができず、
「麺をどうやって食べるのか。」
ということを、ことばで説明したくても、
長男には伝わりません。


ですから、長男は、麺をすすることがなく、
ふつうのごはんのように、一口分ずつ口に入れようとします。
長い麺の切れ目になるまで、少しずつ箸で手繰り寄せ、
もぐもぐと、口に運び続けるのが、長男の食べ方です。
すごーーーーく時間がかかるので、
私が手伝うことが多いです。


この日は、ブンボーフエを4つ注文しました。
ひとりにひとつずつ、ですね。
そして、いつものように、私は、長男に食べさせながら、
その合間に自分の分を食べていました。


長男は、麺をすすることができないので、
麺を食べるときはたいてい、スプーンを使って手伝います。
まずは、麺を数本取って、スプーンの上に丸めて載せ、
さらにスープをすくって、
そのスプーンごと、長男の口に入れます。
こんなふうにして、
スプーンに一口分ずつをよそって、食べる、というのが、
いつもの食べさせ方です。


でも、前述のように、ブンボーフエは、米粉でできています。
米の麺は、表面がツルツルしているので、
数本だけ取ろうとしても、
するんっと、箸から滑り落ちてしまうのです。


「わっ 今日の麺は、ひときわ食べさせにくいわ~。」


と、わざと、言ってみました。
夫に手伝ってほしかったからです。


でも、夫は、まったく意に介していません。
自分のブンボーフエをすごい勢いで食べ終わったあと、
フエの地図なんか見ています。
頭の中は、この後の「楽しいフエ観光」でいっぱいなので、
私と長男のごはんなど、気にする余裕がありません。
私は、まだ、3口しか食べていないのに。


さっさと食べ終わり、手伝わない夫と、長男に介助しながら、食べ続ける私。
家族4人で食べるときは、いつもこんな感じです。


いつもこうなのです。
家族で食事すると、長男の食事の介助は、いつも私。
食べるのが早い夫は、さっさと食べてしまったら、
あとはしらんふりで、遊び始めます。
「おれはもう食べ終わったから、あとはオレが代わるよ。」
と、自分から言ってきたことは、過去22年、一度もありません。


5月に、家族で熱海に行ったときも、
私がひとりで長男に食べさせることになりました。
大量のお料理を前に、苦労して長男に食べさせているうちに、
お味噌汁をひっくり返してしまったことは、以前、書きました。



あのときの教訓が、ちっとも生きていない。
この人は、永久に変わらない。


ふつふつと、怒りがわいてきました。
いったいいつまで、この自分勝手な態度に、
我慢しなければならないのだろうか・・・。
(たぶん、一生。)


「いいかげんにしなさいよ!
 私が、自分の分をほとんど食べられないで、
 のんたんにずっと食べさせてるのが、あなたにはどうしてわからないの?
 『オレは食べ終わったから、代わるよ。』と、どうして、言えないの?」


私の前には、ほとんど手をつけることがないまま、冷めつつある、
ブンボーフエの丼がありました。
それを見ながら、私は夫に、爆発していました。


見かねた長女が、
「おかあさん、私が代わるから…。」
と言いました。


いや、代わって欲しいわけじゃないんです。
私になんの気遣いもない夫が、むかつくだけなんです。


そのときです。


「おかあさん…?
 ごめんね。ごめんね。」


長男が、びっくりしたようすで、つぶやきました。
私が長男を怒ることはめったにないので、
私の剣幕に、驚いたのでしょう。
そのうえ、長男は、「自分が怒られている」と思ったようです。(苦笑)


長男、あわてて、どんぶりを抱え、
せっせと食べ始めました。
そのようすが、なんだかかわいくて、
いっぱい、写真を撮ってしまいました。


僕、自分で食べるよ!

食べるからね。

よいしょ、よいしょ。

おいしいね!


「のんたん。だいじょうぶだよ。
 のんたんがしかられたわけじゃないんだよ。
 のんたんは、悪くないよ。」
と、長男に説明する、私。


おいしかったけれど、
すごく腹がたった、
ブンホーフエの思い出でした。^^


(つづく)

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