MIYO'S WEBSITE-全盲難聴のんたんの育児記録と卵巣ガンで思ったこと

超未熟児で生まれた後遺症で、全盲難聴(盲ろう)となったのんたん、双子の妹あみちゃんと共に楽しく生きる家族のお話です。
子どもたちは21歳になり、毎日元気に楽しく暮らしています。
卵巣ガンになって思ったことも、少しずつ書き始めました。

のんたんの冬休み-42 おいしいものを食べる、ベトナム8日間おトク旅 - 怒りのぼけタクシー(4日目)

2017年12月27日 ブン・ボー・フエの食堂で。(のんたんとあみちゃん 22歳)



とにもかくにも、ブンボーフエのお昼ごはんを食べ終え、
この日のメインイベント、「王宮」へ行くことにしました。


雨の中、食堂の前で、しばしたたずんでいると、
一台のタクシーがやってきました。
早速乗り込み、王宮へ。


渋滞もなく、10分ほどで、タクシーは王宮に到着しました。
料金を支払い、タクシーを降りて、
王宮の方へと歩き始めたのですが、
なにか、へんです。


一大観光地にしては、私たち以外に観光客がいないし、
「入り口」も、ドアが一枚あるだけで、
あまりにもちゃっちいのです。
その場にいた係員らしき人にきいてみると、
「ここは通用口。観光客は、正門に行ってね。」と。
タクシーのドライバーが、間違えたのです。


も~ と思って振り返ると、
幸い、そこにはまだ、
同じタクシーが停まっていました。


「ここじゃないよ。まちがってるよ。」
と言うと、
「乗れ」
と。


ということで、再び同じタクシーに乗り、
正門へと向かうことになりました。


でも、なにか、気になります。
そこで、夫に言ってみました。


「あのさ、まさか、この、2回めのタクシー代も、
 うちが払うわけじゃないよね。」


はじめから正しい場所に行っていれば、それですんだことです。
まちがえた場所に連れて行って、
そこから正しい場所に移動する費用も払うということは、
タクシー代を2倍払う、ということです。


折からの雨で、気持ちが下がっているところに、
さきほどのブンボーフエ食堂での怒りが、まださめていない私。
ドライバーのミスを、
笑って流すような気持ちには、なれませんでした。


夫はと言うと、
「でも、2回乗ったことは確かだし。」
「彼もわざとまちがえたわけじゃないし。」
「たいした金額じゃないし…」
と、思いつく限りの「いいわけ」を、ぽつぽつと話し始めました。
そう。「2回目も払うための」いいわけ、です。


「あなたね。そんなに、お金を2倍払いたいの?
 他人には優しいわねえ!
 その優しさで、自分のこどものごはんくらい、
 手伝ってほしいものだけどね!」
と、おもいっきり、皮肉を言っちゃいました(爆)。


夫、黙るしかありません。
夫は夫で、
「こんなことで、ドライバーともめたくない。」
と思っていたようです。


たしかに、日本人の感覚から言えば、
たいした金額ではないかもしれません。
だから、さっさと払ってすませたい、と思ったのでしょう。
でも、
「納得のいかないお金は、少額であっても払いたくない」
と、私は思っていました。


「もし、このタクシー代払ったら、
 許さないからね。」


私のこのことばを最後に、夫も長女も黙ってしまいました。
重苦しい空気の中、タクシーは、
目指していた「王宮の正門」に到着しました。
今度こそ、本当の「正門」です。


ドライバーは、当然のように、代金を受け取ろうとしたのですが、
「払わないよ」
とだけ言い、夫はさっさと車を降りて、歩き始めました。


後部座席の私たちも、ぐずぐずしてはいられません。
あわてて、子どもたちといっしょに、車を降りました。


ドライバーは、なにかをしきりとまくしたてましたが、
ベトナム語なので、わかりません(苦笑)。
たぶん、「払え」と言っているのでしょう。
そこで、言いました。


「あなたが間違っただけのことでしょう。
 私たちのせいじゃない。
 だから、2回目の分は、払わないわよ。
 文句があるなら、警察を呼びましょう!


大きな声できっぱりと言いました。
ここで「大きな声」で言ったのは、
まわりに居合わせた人たちにも聞こえるように、という意図がありました。


左手で長男を手引きし、右手で長女の手を持って、
堂々と、歩き始めました。


長女は不安そうにしていましたが、
「あみ、振り向いちゃだめよ。
 おどおどしないで、しっかりと歩きなさい。」
と私に言われ、ついてきました。


追いかけてくるかな、と、内心はらはらしていましたが、
私たちに払う意思がないことを、理解したのでしょう。
ドライバーは、あっさりとあきらめて、
そのまま、行ってしまいました。


つまり、2回目の代金を、払わなくてすんだわけです。
ちょっとかわいそうな気もしましたが、
遠ざかっていく車を見ながら、ほっとしました。^^



帰国後、ずいぶんあとになってから、
このときのことを、家族で話し合ったことがあります。


「私ね。あとになればなるほど、思うことがあるんだけど。
 あのときのドライバーって、
 わざと違う場所に連れて行ったんじゃないか、って。」


わざと違う場所に連れて行き、
「ここじゃないよ」と言われてから、正しい場所に連れて行けば、
一回の依頼で、2倍稼ぐことができるわけです。


「そういえば…」


私のことばに、夫と長女も、それぞれに話し始めました。
「普通なら、タクシーは、お客を降ろしたらすぐに行ってしまうはず。
 でも、私たちが引き返してみると、タクシーはその場にいた。
 もどってくるのを待っていた(のかもしれない)。」
「フエ最大の観光地である王宮の正門の場所を、
 地元のタクシーが間違えることって、あるだろうか。」
「だまそうと思ってわざとやっていることなので、
 私たちが支払いを拒否し、『警察を呼ぶ』と言ったら、
 ちっ と思うだけで、すぐにあきらめて、行ってしまったのかもしれない。」


そう。
考えれば考えるほど、
あれは「わざと」だったんじゃないか、
と、3人の考えが一致しました。


「だとしたら、あそこで、タクシー代を2回も払ったら、
 私たちって、本当におおばかやろうだったわねえ!
 誰よ。『払ってあげようよ』なんて、おめでたいことをくどくど言ってたのは。」


私に、嫌みを言われ、
返す言葉もない、夫なのでした。


(つづく)


雨に濡れる、王宮の正門。堂々たるたたずまいです。
ここと、通用口を間違えるタクシーって、ありえないですよね。^^


本当は、タクシーよりも、こっちの方が好きです。チャリンコタクシー!^^

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