MIYO'S WEBSITE-全盲難聴のんたんの育児記録と卵巣ガンで思ったこと

超未熟児で生まれた後遺症で、全盲難聴(盲ろう)となったのんたん、双子の妹あみちゃんと共に楽しく生きる家族のお話です。
子どもたちは21歳になり、毎日元気に楽しく暮らしています。
卵巣ガンになって思ったことも、少しずつ書き始めました。

全盲難聴・のんたん お箸で食べて、びっくり。

ベトナム料理屋さんで。お箸でフォーを食べています。(全盲難聴・のんたん 19歳)



全盲の長男は、目で見て、自然になにかを覚える、ということができません。
たとえば、「食べること」。
「食べる」というのは、人間が本能として自然に行うことだと、
私は思っていました。
が、長男を育ててみてはじめて、
「他の人が食べているようすを見て、
赤ちゃんは自然に、『食べること』を知っていくのだな。」
と知りました。


わけのわからないものを口の中に入れられたら、
誰だって当惑します。
口の中に入れてもらったものは、そのまま噛んで飲み込んでいいんだよ、
と伝えたくても、
難聴の長男に説明することができません。
だから、小さい頃から、長男に食べさせることには、
かなり苦労したと思います。(←昔のことで、もうあまり覚えていません。^^)


ましてや、「自分で食べる」ということをおしえるのは、
もっと大変でした。
それでも、どうにかこうにか、
スプーンで食べることまではできるようになったのですが、
お箸というのは、とても難易度が高いものでした。


盲学校で、「今年度の目標」として、
「箸を使って食べる」という項目を入れていただいたこともありました。
給食はいつも、担任の先生といっしょに食べます。
毎日、担任の先生がつききりで指導してくださっても、
長男が箸を使えるまでにはいたらず、
高等部を卒業となりました。


卒業後、長男はS園での生活をスタートさせました。
入所のとき、先生から、
「なにかご要望はありますか?」
と訊かれた私。
ついつい、お箸のことをお願いしてしまいました。


「お箸は、高校三年まで、担任の先生もがんばってくださいましたが、
 とうとう、使えるようになれませんでした。
 ですから、とても難しいことであると理解しております。
 ですが、もし可能であれば、
 少しずつでも、お箸の練習をさせていただけれは、と
 思っています。
 急ぎませんし、指導が可能なようであれば、でけっこうですから。」


そんなふうにして、S園での生活が始まり、
一ヵ月後のゴールデンウィークに、長男は帰宅してきました。
そのときのことです。
食事をするために、テーブルの、長男の席に座らせると、長男が、
「おはし…。」
と言うではありませんか。


耳を疑いました。
「のんたん、おはしがほしいの?」
と聞くと、
「はいっ^^」


えええええ~っ?


家族一同、びっくりです。
半信半疑ながら、お箸を持たせてみました。
すると、長男、そのお箸を握って、
ごはんをがしがしと食べ始めたではありませんか。


えええええ~っ?


家族一同、またまたびっくりです。
それは、お箸を「持つ」というよりも、
「握る」と言ったほうがよいような持ち方でした。


左手でお茶碗を持ち、その中にお箸を突っ込んで、
中のごはんを口にかきこんでいます。
長男は、たしかに、箸を使ってごはんを食べていました。


学校に12年間通い、担任の先生が、毎日つきっきりで指導してくださっても、
最後まで使えるようになれなかった、お箸。
そのお箸で、今、長男はごはんを食べているのです。


入所の日、私が先生に、
「お箸が使えるようになれれば…」
ともらしたひとことを、園ではしっかりと受け止め、
毎日、長男と練習してくださったのでしょう。
それにしても、入所してから、まだひと月足らずなのです。
S園って、すごい! と、あらためて思いました。


長男もまた、お箸で食べられるようになったことが得意だったのでしょう。
それを私に見せたくて、自分から
「おはし、ください。」
と言ったのだと思います。
そのようすから、
「長男の前向きな気持ちを大切にしながら、
お箸の指導をしてくださったんだな。」
ということが、うかがえました。


私は、胸がいっぱいになりました。
長男がお箸で食べているようすを見るのがうれしくて、
涙がでそうになりました。


「のんたん、すごいねえ!
 おはしでたべてるよ。えらいねえ。かっこいいねえ!」


いっぱい、いっぱい、ほめました。
長男も、得意そうな顔で、ご飯を食べています。
そして、食べ終わったあとは、2本のお箸をきちんとそろえて、
テーブルの上に置きました。
そんなことまで、おそわっていたんだなあ。


それにしても…。
本当に不思議です。
学校に通っている間、12年間をかけても、できなかったことなのです。
それがどうして、ひと月たらずでできるようになるのか…?
(けして、学校がだめだったのではなく、
 S園がすばらしすぎるのだと思います。)


S園に入所してわずか一ヶ月で、
早くも、長男のうれしい成長に驚かされた私達でした。
この「うれしい驚き」は、それから3年間、
現在にいたるまで、なんどもやってくることになるのですが、
このときにはまだ、そんなことは想像もしていませんでした。



その他の記録は、
のんたん日記18
http://limings.sweet.coocan.jp/nontan18/nontan1800.html
をご覧ください。
ガンになって
http://limings.sweet.coocan.jp/miyo01/miyo1703.html
MIYO'S WEBSITE(全盲難聴の、のんたんの育児記録)
http://limings.sweet.coocan.jp/
も、少しずつ更新しています。

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