MIYO'S WEBSITE - 全盲難聴のんたんの記録と卵巣ガン、そして旅日記。

超未熟児で生まれた後遺症で、全盲難聴(盲ろう)となったのんたん、双子の妹あみちゃんと共に楽しく生きる家族のお話です。
子どもたちは24歳になり、毎日元気に楽しく暮らしています。
卵巣ガンになって思ったことも、少しずつ書き始めました。
ベトナム日記は、
http://limings.muragon.com/tag/?q=2019%E5%B9%B49%E6%9C%88-10%E6%9C%88%E3%80%80%E3%83%99%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%A0&p=4 
をご覧ください。
ベトナム家族旅行:
https://limings.muragon.com/tag/?q=2017%E5%B9%B412%E6%9C%88%E3%80%80%E3%83%99%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%A0
小学生だったころの子どもたちの育児日記は、こちらです。
http://limings.sweet.coocan.jp/

コロナでも房総2。春を見つけて歩く千葉 2 - 鋸南町水仙まつり②(2022年1月9日)

2022年1月9日 菜の花畑と。(千葉県安房郡鋸南町)


1月9日


鋸南町の水仙まつりに来ています。
江月地区の水仙ロードでは、
道の両側に、3kmに亘って、
水仙が咲いています。
ここは、
「日本三大水仙群生地」
なのだそうです。
ちなみに、日本三大水仙群生地は、
淡路島、越前海岸、南房総・鋸南町
だそうですよ。^^


水仙は、お寺のお坊さんが中国から持ち帰り広まったと言われています。この和水仙の別名は、「雪中花」。すてきですね。^^

ここは、源頼朝が武士舞を舞った場所とされています。「池月」という馬をを献上されたので、そのお礼に、頼朝が武士舞を舞ったのだそうです。房総には、源頼朝の伝説が数多く残っています。

「あっ スタンプコーナーだ!」 スタンプ大好きな夫が駆け寄っていきましたが、すぐに、「スタンプがなかった…」と、がっかりして戻ってきました。

そんなはずないでしょ…と思ってよく見たら、「QRコードのスタンプ」でした。最近のスタンプは、QRコードに変わりつつあるのでしょうか。これはもはや、「スタンプ」とは言わないのではないか…。笑 機械オンチの夫のことなので、QRの読み方がわからなかったのかも…、などと、ちらっと思いました。🤣🤣

やがて、民家がまばらになってきました。水仙に囲まれた山道を歩きます。

里山の、すばらしい風景。^^

たくさんのニワトリの鳴き声が聞こえました。近寄ってみたら、鶏舎でした。窓にニワトリさんがいるの、わかりますでしょうか。笑 このお宅では、小屋に卵をたくさん置いて、無人販売をしておられました。^^


このあたりでは、
手づくりの味噌とかおにぎりとかを
軒先に並べて販売している家も多いです。
ほとんどが無人販売なので、
ちょっと心配になりますが、
代金入れの中のお金は、
盗まれることもなく、残っていました。^^


蝋梅が、たくさん咲いていました。

蝋梅といっしょに、富士山を撮ろうとする夫。惜しい、小枝が重なってる。もうちょっとずらした方がよかったね。笑

ここは、一応、富士山の絶景ポイントとされているのですが、枝がじゃまですね。イスに上がって撮りたいところです。笑

道路の脇にひっそりと咲く水仙を、眺めながら歩きました。

花のさかりは12月だったそうです。その頃に比べると、花の数は減っているのですが、それでもたくさんの水仙を見ることができました。^^

里山の風景が、なにかとても温かくて、いい感じです。

マンゴーのような実がなっていました。でも、葉っぱの形が違います。なんの木でしょうね。

こんな景色の中を歩きました。梅の花が愛らしくて、絵本の世界のようです。

もう、春がすぐそこまで来ているような、そんな気持ちになれる、「水仙ロード」でした。


次回は、お昼ごはんです。^^


(つづく)

コロナでも房総2。春を見つけて歩く千葉 1 - 鋸南町水仙まつり①(2022年1月9日)

2022年1月9日 江月水仙まつりで。(千葉県安房郡鋸南町)


1月9日


長男の冬休みも終わり、
やれやれ、ここでひと休み、
と思ったのもつかのま、
夫がやってきて言いました。


「鋸南町で水仙がきれいなんだって。
 明日、行ってみようよ。」


つくづく、
遊ぶことしか頭にない人だな…、
と思います。😂😂
「疲れを知らない子供のように~」
って歌がありましたが、
まさしく夫のことです。笑


私としては、
ソファに寝っころがって、
韓ドラを見てのんびり過ごしたい、
という気持ちだったのですが、
でもまあ、少しは歩かなくちゃな、
と思い直しました。^^


今年最初のお出かけが、
あったかい房総、というのも、
悪くないですよね。^^


房総には、ときどき出かけているのですが、最後に行ったのは、1年前の2月でした。


ということで、ほぼ1年ぶりの房総へ。
今回の目的は、
鋸南町の水仙まつりに行くことです。


【鋸南町水仙まつり】
南房総は暖かく、昔から、「鋸山を越えると肌着が一枚いらない」と言われるほどでした。北国で雪の便りが聞かれるようなときでも、安房では花がいっぱいです。中でも鋸南町では、12月から2月上旬にかけて、いたるところで、特産物である日本水仙の芳香が漂います。
日本水仙の歴史は古く、江戸時代の安政年間(1854~60年)には、房州から船で江戸に出荷されていました。『元名(もとな)の花』として、武家屋敷や町家等に売られ、高貴な花として好評を得たとの記録があります。


鋸南町に到着。無料駐車場に車を停めて、江月水仙ロードを歩きます。

このあたりの水仙は、江戸時代から有名で、お正月を飾る花として、江戸の町屋や武家屋敷に人気があったそうです。松尾芭蕉の句にも詠まれています。
「水仙や 白き障子のとも映り」「初雪や 水仙の葉のたわむまで」

里山のゆるやかな登り坂を歩きました。お天気が良くて、富士山がきれいに見えました。^^

ソテツの苗がたくさん。さすが房総。あったかいんですね。^^

やがて、菜の花畑が見えてきました。

小川と山と菜の花畑が、まるで一枚の絵のようでした。

「水仙まつり」ではなく、「菜の花まつり」だったのかな、と思うほど、たくさんの菜の花。^^

水仙も見えてきました。


もうひとつの「水仙まつり」を、
思い出しました。


1年前、家族で出かけた下田です。あたり一面に、水仙が咲き乱れていました。(2020年12月28日)

長男といっしょに波の音を楽しんだ、下田の海。


1年前の下田は、楽しかったね、
などと、夫と話しながら、
水仙ロードを歩きました。


(つづき)

全盲難聴・のんたん 新年会(2022年1月17日)と、二泊旅行のおみやげ(2017-2021)

2021年12月30日 上野「寛永寺 清水観音堂」で、MIYOの話を聞いている長男です。こんなふうに、耳元でゆっくりはっきり話すと、長男にも聞こえます。(全盲難聴・のんたん 26歳)


【お知らせ】
掲載しきれなかった長男の日記を、続けて掲載してきました。
お読みくださり、ありがとうございました。
一段落しましたので、明日からは、少しお休みをいただき、その後、新しい連載を始めたいと思います。
今後とも、よろしくお願いいたします。


1月17日


冬休みが終わりました。
長男はS園に戻り、今はS園で、
毎日、元気に楽しく過ごしています。


S園のHPで、
新年会の様子が掲載されていたので、
転載いたします。


まずこちらは、お正月のお料理です。冬休みに帰宅せず、園で年末年始を過ごす園生には、こんなおせち料理とお雑煮がふるまわれます。かまぼこも手作りだそうですよ。^^


【新年会】(S園のHPより)
冬休みが終わって、帰園してきた園生もいっしょに、全員で新年会が行われました。コロナ禍のため、今年の新年会も、一堂に会することなく、各食堂で、美味しいお弁当やデザート、フルーツをいただきました。司会進行や年男年女の抱負等も、放送を利用して行いました。ささやかな新年会でしたが、皆さんで新年を迎えたことに感謝して、お祝いすることができました。


よく見ると、「美濃吉」のお弁当ではありませんか…。カップはウェッジウッドだし。やるなあ~、S園。😄😄

私も食べたことがない、美濃吉のお弁当。いいなあ~。^^

デザートは、チョコレートブラウニーまたはフランボワーズムース。

窓には、園生の籐細工が飾ってありました。


いいなあ、新年会。私も参加して、
美濃吉のお弁当を食べたかったです~。笑


続きまして、
掲載しそびれていた、二泊旅行の写真です。
過去3年分(2019年から2021年)を、
まとめてご紹介します。
で、この機会に、
過去5年分のお土産の写真も、
まとめて振り返ってみました。
(ブログに残しておくと、
 こういうときにまとめて思い出せるのが、
 便利ですね。^^)


二泊旅行は、毎年、S園が実施している、
大きな行事です。
旅先からは、必ず、長男の名前で、
お土産が送られてきます。^^


2017年は那須高原に行きました。お土産は、有名なチーズケーキ、「御用邸」です。


2018年の福島旅行。お土産は、福島桃のプリンと喜多方ラーメンでした。


2019年の京都旅行。舞妓さんと一緒に記念写真。人が多すぎて、よくわかりませんが…、

拡大してみると、左端に長男がいました。笑

「八つ橋庵かけはし」で、生八つ橋の制作体験もやりました。

夜は、ホテルでカラオケ大会。どうしてこの写真を掲載するかというと、手前に長男の「後ろ姿」が写っているからです。(←ただそれだけなんですが。笑)

そして、旅行先から宅配便で送られてきたお土産です。この年は、なぜか量が多くて、びっくりでした。

まずは、扇を2本と生八つ橋。

信楽焼のタンブラー。滋賀県マルタカ陶器のものです。

佃煮2種。

そして、京のお漬物6種セット。

あまりにもたくさんあったので、このあとのウクレレ発表会で、先生やボランティアのみなさんにおすそわけしました。

2020年の福島旅行。コロナのため、時期を半年延期し、一泊に短縮しましたが、それでも実施するのがS園です。^^ このときは、スパリゾートハワイアンズに滞在しました。お土産は、ウクレレのパッケージに入ったチョコレートと、私たちのお気に入りのお菓子、柏屋の「檸檬(れも)」でした。(2020年10月31日)

このときの日記です。

そして、2021年です。横浜・三浦半島に行きました。やはりコロナのため、旅行は一泊になりましたが、規模を縮小しても実施するというのが、S園の考えです。園生の楽しみを簡単にはあきらめないところは、すごいなあ、といつも思います。写真は、シーパラダイスで釣りをし、中華街を散策する園生です。(2021年10月)


【2021年の一泊旅行】(園だよりから)
一日目は、八景島シーパラダイスで、ジェットコースターなどの乗り物を楽しんだり、釣り堀で釣った味をレストランでフライにしてもらって食べたり、買い物やスイーツを楽しんだりと、それぞれが楽しいひとときを過ごしました。ホテルは、三浦マホロバ・マインズに泊まりました。食事は、三浦半島ということで、海鮮が中心で、とても豪華な食事を味わいました。
二日目は、横浜中華街で昼食を食べ、中華街を散策しました。豚まんを食べたり、お土産を購入したりと、中華街を満喫しました。
今年度も一泊の旅行になりましたが、とても楽しかったと園生が話している声を聞き、係としてほっとしました。これからも、園生みんなが楽しめる行事を計画していきます。


夜は三浦マホロバ・マインズに泊まりました。まったりくつろいでいる長男です。^^


このあと、
中華街で買ってくれたお土産が、
クール便で我が家に届きました。


「中華菜館 同發」の大きな箱です。ずっしりと重いので、「わっ 肉まんかな~♪」と喜んだのですが…。(2021年10月18日)

箱をあけてみると…、

中にあったのは、月餅でした。月餅ですよ、月餅。🤣🤣

箱にぎっしりと入っていた月餅。数えてみたら、21個もありました。1個だけでも相当大きいのに、それが21個ですよ。こんなにたくさんの月餅、もらったことがありますか?泣


これ、どうすればいいんだろ…。
と、目の前がくらくらしました。笑


でも、せっかく長男が買ってくれたもの。
(正確には、職員さんが選んでくれた、ですが)
腐らせてしまっては申し訳ない。
…ということで、もう、
夫とふたりで、毎日食べまくり。笑
さらには、あちこちに、配りまくり。
近所に配ったり、友人に郵送したりして、
なんとか、無駄にしないですみました。


もうね。
月餅を、一生分、食べました。🤣🤣


かつては、
「年寄り夫婦では、食べきれません。
 旅行のお土産を送らないでください。」
という保護者さんも、いらしたそうです。
でも、それに対して、園長先生が、
こう答えられました。


「お土産を買うのは、二泊旅行での、
 園生のたいせつな楽しみです。
 どうぞ、お受け取りください。^^」


どこまでも、
園生の気持ちに寄り添う、S園だなあ、
と思いました。^^


そう言えば、長男が、
「お土産」ということばを
理解するようになったのも、
園の旅行でお土産を買うようになってから、
だったように記憶しています。


2019年、20年お世話になったボランティアさんご家族と、3家族8名ででかけたタイ。突然、長男が、「おみやげを買いたい」と言い出してびっくり。^^

このときは、バンコク伊勢丹で、「タイ限定コアラのマーチ」を、長男といっしょに買いました。


こうして連続して見てみると、
とてもなつかしいし、^^
新年会や旅行など、
S園での様々な行事を通して、
長男の内面が、すこしずつ、
豊かに成長しているように感じます。
S園に、感謝です。


コロナが収束して、
今年こそは、S園のみなさんが、
二泊旅行に出かけられますように。

全盲難聴・のんたんの冬休み 8 - 楽しかったよ。(2022年1月4日/10日め)

2022年1月4日 「楽しかったよ」って、言いたかったみたいです。^^(全盲難聴・のんたん 26歳)


1月4日


長男の冬休み、
最後の日になりました。
この日は、あまり写真がないので、
S園での長男の写真も掲載します。


月に一度、園内で開かれる、「喫茶ニューグリーン」で。この日のメニューは、チョコエクレア・レモン牛乳寒天。飲み物は、ホットコーヒー・アイスコーヒー・ココア・ハーブティー・レモネードティーでした。準備、片付け、接客、会計レジ、下膳、食器洗いを、担当の園生が行っていて、「お給料」もいただけるのだとか。生演奏付きで、休日午後のひと時を、みんなで楽しんでいるそうです。長男はやっぱり、ピアノの横の特等席ですね。^^(2021年6月19日)

S園が毎年行っている、社会見学です。3班に分かれて、①東武博物館 ②本所防災館 ③オリンピックミュージアムに行きました。3つの行先は、担当の園生の意見を元に決め、さらに、どのグループになるかも、園生のひとりひとりが自分で決めたそうです。長男が行ったのは、本所防災館です。消火体験や地震体験、都市水害の体験などに取り組みました。(2021年11月6日)

消火器をさわって、使い方を教わっています。

消火体験も、手抜きなしです。^^

様々な装置に、さわらせていただきました。

やはり、最大の目玉はコレでしょうか。「震度階地震体験」です。

震度6弱の地震を体験できます。みなさん、座りこんじゃってますね。

園長先生と手をつないで、体験。普通はちょっとコワいはずなのですが、実は、すみませんが、長男はこれが大好きなのです。(中学部での社会見学で、体験済みです。)

本所防災館での長男です。自分の体験が終わったあとも、もっとやりたかったみたいです。部屋のドアに耳をつけ、懸命に中の様子をうかがっています。😅😅

昼食は、浅草ビューホテルですよ。すごいなあ。感染症対策のため、貸切会場でランチをいただきました。

浅草のおみこしの前で。秋晴れの中、楽しい一日になりました。

「冬至の日、S園では、ゆず湯に入って、一年間の健康を願います。昼食は、かぼちゃのほうとうでした。」…という、S園のHPの写真です。写真の右端に、お風呂に入っている長男を発見!笑 うれしくて、ダウンロードしちゃいました。^^(2021年12月22日)


S園での長男は、
こんな感じで暮らしています。
楽しそうな生活がうかがえるので、
S園のHPを見るのが楽しみです。^^


さて、冬休みの最終日です。
お昼ごはんも終わり、
いよいよ、おとうさんといっしょに、
S園に戻ります。


最後に写真を撮ろうと、
長男にカメラを向けました。


「のんたん、S園に帰りたいですか?」「はいっ」


…いつもこうなんですよ。
そっかぁ…。
ウチよりも、S園がいいのかあ…。


お休みが終わると、長男はいつも、
さっさと家を出て行きます。
S園に戻るのが、うれしいみたいです。


ちょっとサビシイですが、
ウチよりもS園の方が楽しいなんて、
ありがたいことですよね。^^


でも、この日の長男は、なんだか、いつもと違いました。もう帰る時間だとわかっているのに、ドアの前で立ち止まり、なかなか部屋から出て行こうとしないのです。

あれ? 長男の目がうるんでいます。うそっ。まさか…。


「のんたん、どうしたの?
 さびしいの?
 もっとおうちにいたいの?」
「はい。」
「でも、S園に、帰りたいんだよね?」
「はい。」


S園は好きだけど、
私たちと別れるのも寂しい。
…そんな気持ちだったみたいです。


「別れを惜しむ」ということばがありますが、
そんなそぶりを、長男はこのとき、
生まれて初めて見せてくれました。


長男の心の中で、
今までになかったものが育っているようで、
なんだかうれしくなりました。


「冬休み、楽しかったね。
 また遊ぼうね。
 今度は5月に帰っておいで。
 また、カラオケにも行こうね。」


長男を抱きしめ、そう言ったら…。


笑顔を見せてくれました。「楽しかったよ。大好きだよ。」と、長男が言ってくれているような気がしました。


長男は、夫が運転する車に乗り、
S園に戻っていきました。
また、日常が始まります。
長男にも、私たちにも。^^


こうして、
10日間の冬休みが終わりました。


(おわり)

全盲難聴・のんたんの冬休み 7 - なつかしいね、のんたん。(2022年1月3日/9日め)(2021年2月5日)

2021年2月5日 なつかしいおもちゃに再会して、笑顔を見せてくれました。(全盲難聴・のんたん 25歳)


1月3日


パセラで、楽しい3時間を過ごしました。
家族カラオケは、
長男が帰宅した時には欠かせない、
我が家の年中行事です。


掲載しきれなかった写真です。笑


今年のカラオケで、うれしかったのは、
クラッカーを気に入った長男が、
いっぱい笑ってくれたことでした。


笑うということ…。


笑顔。それは、簡単なようでいて、
長男にはとても難しいことです。
長男は、「笑う」ということばを
知りません。
他の人が笑うのを見たことがないし、
ことばで説明したくても、
そのことばが、長男にはわかりません。


ブログに掲載している長男の写真も、
笑顔のものは、すべて、
本当に笑っているときに撮れたもので、
「笑ってね」と言われてつくった笑顔は、
一枚もありません。


私たちなら、
「はい、笑ってね。チーズ!^^」
などと言われたら、笑顔をつくります。
けれど、長男の場合、
カメラを向けて、
「笑ってね~」と言ってみても、
長男が笑うことはありません。
その理由は、長男には、
「笑顔を作る」ということが、
わからないからです。


あやすと笑ってくれた長女。でも、長男には、それができませんでした。長男はいつも、生真面目な顔。でも、男前だったなあ…。笑(1997年5月 のんたんとあみちゃん1歳9か月)

少しだけ笑っている長男の、貴重な写真。長女が来ている白い服は、クリスチャンディオールですよ。(←友人からいただいたおさがり。笑)(1997年3月 のんたんとあみちゃん1歳7か月)

もちろんたまには、こんな笑顔も。この頃は、長男にも遊べるおもちゃを、とにかく探していました。(1997年2月 のんたんとあみちゃん1歳6か月)


長男の笑顔を写真に撮るには、
本当に笑っている時を狙うしかありません。
けれど、
いい顔して笑ってるな、と思うときに、
すぐにカメラはでてきません。


ですから、小さいころから、
長男の笑顔を写真に撮るのは、
とてもむずかしいことでした。
そして、だからこそ、
たまに笑顔を撮れた時の写真は、
とても貴重でした。


「りんご」「バナナ」などのように、
手でさわっておしえられるものは、
少しずつ、長男も理解していきました。


けれど、「笑う」ということばには、
さわれません。
「見て理解し、覚える」ということは、
長男には、とてもむずかしいことです。


「うれしい」「おいしい」などという、
さわって知ることができないことばも、
伝えるのが難しいことばでした。
けれど、長い年月をかけて、
そういう体験をしたときに声かけしながら、
ひとつひとつの言葉を、
長男と共有していきました。


「体験」すること。
それは、長男にことばを伝えられる、
とても貴重な方法でした。


成長と共に、少しずつ増えていった、
長男の語彙。
けれど今でも、難聴の長男に、
伝えきれていないことばが、
たくさんあります。


でも逆に、
長男が成人した今だからこそ、
伝えられることばもあると、
最近になって気づきました。


昨年、断捨離をしていたら、
子どもの頃に長男が好きだったおもちゃが
たくさんでてきました。
そこでようやく、
「なつかしい」ということばを
長男に伝えることが
できるようになったのです。^^


小さいころのおもちゃをさわって、「なつかしいね」ということばを、初めて伝えられた日の長男。(2020年7月20日 24歳)

そのときの日記です。


このときに、
「なつかしい」ということばを、
長男が理解できたかどうかは、わかりません。
でも、
「忘れていたことを思い出し、
 それを愛おしむ気持ち。
 それが、『なつかしい』なんだよ。」
ということを、これからも、
長男に伝えていきたいと思います。


長男が小さいころに大好きだったおもちゃ、「エレキット」。夫がフリーマーケットで見つけたものです。これが、なぜか大ヒットで、長男のお気に入りになりました。


そのエレキットが、
しまいこんでいたおもちゃ箱から、
昨年、出てきました。
そこで、たまたま帰宅していた長男に、
触らせてみました。


長男、すぐに思い出して、耳にあてました。(2021年2月5日 のんたん25歳)

「これ、なあに?」「エレキット」 名前ももちろん憶えていて、難なく、スイッチを入れました。

「パッパパ~」「ビッ ビビッ」 なぜかこれが、長男は大好きでした。^^

真剣な顔で聞いています。

そんな長男に向かって、「なつかしいね。のんたん、なつかしいねえ。」と、シツコク話しかける母。笑

母のことは無視して、エレキットに夢中の長男。笑

最後に、笑顔を見せてくれました。久しぶりにエレキットの音を聞けて、うれしかったのだと思います。


そうだよ…。
それが、「なつかしい」って気持ちなんだよ…。


それを、長男に伝えたくて、
「なつかしいねえ。
 久しぶりに聞けて、うれしいねえ。」
と、長男の耳元で、何度も話しかけました。


長男は、エレキットに再会できたことが
とてもうれしかったようです。
そのまま、エレキットを
自分のリュックに入れて、
S園に持ち帰っていきました。^^


あれから、一年がたちました。
長男が「なつかしい」ということばを
理解できているかどうかは、
今もわかりません。^^


長男にうまく伝わっていれば、
それはそれで、とてもうれしい。
でも、いいのです。
たとえ伝わらなくても。
私たちは、長男の「今」に、
ただ寄り添うだけです。
幸せに、と願いながら。



(つづく)