定年でもベトナム。ハノイで始める、お仕事日記 64 - 再発防止策(2019年9月24日/24日め)
2019年9月24日 歩道で、魚を揚げる女性。
9月24日
ある朝のことです。
身支度をして、いつものように、
1階のオフィスに降りて行きました。
階段を降りるだけ。
通勤時間30秒というのは、ほんとうにラクです。^^
すると、オフィスでは、ちょっとした騒ぎになっていました。
この会社では、
ハノイ市内外の各種ツアーを催行しています。
日本から、または、ベトナムに着いてから、
ネットで申し込んだお客様のために、
ツアーは毎日出発します。
「ホテル送迎付き」なので、
お客様は、当日、ホテルのロビーで待っているだけです。
ツアーバスは、その日に参加されるお客様のホテルを、
順番にお伺いします。
この「お迎えサービス」は、とても好評です。
ところがこの日は、トラブルになっていました。
ひとつめのお迎え場所であるホテルに、
ガイドが迎えに行ってみると、
そこにはお客様がいなかったのです。
お客様は、宿泊ホテルをすでにチェックアウトしていて、
連絡がとれない状態でした。
オフィスは、たいへんな騒ぎになりました。
結局、原因は、お客様の勘違いだったようです。
そのお客様は、約束の時間から20分も遅れて、
ホテルのロビーに現れたそうです。
私はこのとき、
「予約して、勝手に当日キャンセルしたわけじゃなかった。
無事に会えてよかった。」
と、思っていました。
が、ローさんにとっては、それだけでは終わりませんでした。
ローさんは、とても怒っていましたが、
どうにか怒りを鎮めました。
そして、そのあとにお迎えに伺う予定になっていた、
すべてのお客様に電話し、
「お迎え時間が20分遅れます。申し訳ありません。」
と、連絡し続けたのです。
これはたしかに、正しい対応です。
ホテルのロビーで20分も待たされたら、
不安になるお客様もいるでしょうから。
でも、そういえば。
5月に行ったバンコクで、申し込んであった現地ツアー。
あのときも、ホテルのロビーにお迎えに来てもらったのですが、
迎えのガイドさんは、予定時間から20分も遅れて到着しました。
そのとき同行していたHさんは、とても心配していました。
が、私は、
「日本と違って、少々の遅刻はよくあること。
待ってればそのうち来るがね。」
と思っていました。
そして、そのとおりに、20分遅れてきたガイドさん。
謝罪もなにもなく、
何事もなかったかのように、
あたふたとツアーは出発したのです。笑
私は、基本的に、
「海外では、日本並みになんでも正確に進むことは、
期待できない。」
と考えています。
つまり、
「多少遅れることだってあるだろう。
そのうち来れば、それでよし。」
ということです。
でも、ローさんは違いました。
「日本のお客様は、お迎えが15分遅れたら、
怒ります。
連絡しないといけません。」
と、信じています。
おそらくこれは、
ローさんの長年の経験に基づくことなのでしょう。
そして、おそらく、
「ホテルのロビーなんだから、危ないこともないし、
多少遅れようが、待ってればそのうち来る。」
と考える私の方が、少数派なのでしょう。
まったく、どっちが日本人なんだか。(笑)
電話をかけまくっているローさんを、
ただボー然と見つめる、MIYO。(苦笑)
すべてのお客様に連絡がとれ、
ツアーも無事に出発し、
なんとか、事なきを得ました。
こんなことが、年に何回か、起こるのだそうです。
そこで、ローさんに言いました。
「ツアーは無事に出発したけど、
それで終わり、ではありません。
日本では、トラブルが起こったら、みんなで考えます。
どうして、それが起こったのか。
同じことがまた起こらないようにするには、
どうすればいいのか。
これを、『再発防止策』と言います。
これが大事です。
そこまでやらないと、トラブルが解決したとは言えないし、
いつかまた、同じことが起こります。
再発防止策を、いっしょに考えませんか?」
けれど、ローさんには、
MIYOの言うことが理解できなかったようです。
ローさんからは、返事がありませんでした。
この会話は、こうして立ち消えになりました。
そして一か月後、
再び同じトラブルが起こるときまで、
放置されることになりました。
「20分遅れる」という連絡を、
すべてのお客様に、懸命に行い、
どうにかツアーが出発したら、
「解決した」と考える、ローさん。
「たまには、遅れることもあるだろう。
でも、
『同じ理由で二度と遅れないためには、
どうすればいいか』
を考え、対策を講じることが大事。」
と考える、MIYO。
両者の隔たりは、大きい。(苦笑)
問題は、「20分の遅延をお客様に連絡するかどうか」ではなく、
「トラブルが起きたときに、
それをどうやって、改善に結びつけていくか」
ということでした。
37年もメーカーで働いてきたMIYOには、
それは自然な発想でした。
かつての職場では、周囲の同僚の誰もが、
私と同じように考え、行動していました。
さほど、特別なことではありません。
けれど、ここベトナムでそれをわかってもらうのは、
容易なことではありませんでした。
その後も、日々、小さなトラブルは発生しました。
でも、そのたびに、こちらの人の意識は、
「目前のトラブルをどう解決するか」
にだけ、集中します。
目の前のトラブルが解決したら、
もう、問題はなくなったのです。
「再発防止策」なんて、
思いもよらないことのようでした。
「私が実践して見せれば、わかってくれるのではないか」
と、考えたこともありました。
たとえば、私が「再発防止策」を打ち出し、
それを見せるわけです。
すると彼らは、
「ああ、これはいいですね。
これからはそうしましょう。
ありがとうございます。」
と喜び、それを導入します。
けれど、何度説明しても、
「自分たちもこんなふうに考え、行動していこう」
という、意識改革には、つながらないのです。
定年退職して、ベトナムまで来て、いまさら、なのですが、
つくづく、「日本の企業で、普通に訓練された」ということの強さを、
実感する日々でした。
そして、こんな、両者の意識の隔たりが、
2か月やそこらでなくなるわけもないことは、
私にもよくわかっていました…。
さて、本日の朝ごはんです。
右のお皿は、タムさんのです。パンが、私のより小さい(怒)。「私の分を多めにしないでください」と言い続けて、ほぼ一か月。依然として、こんな状態です。(苦笑)
パン、アボカド、目玉焼き、冷たいお茶。
午前のおやつは、アボカドのジュース。
お昼ごはんです。ハイさんが、市場で買ってきてくれました。
ブンチャー。これでひとり分です。
素麺をぶつ切りにしたようなブンと、揚げ春巻き、揚げ豆腐、さつま揚げ、きゅうりなどのおかずを、たれにつけながら食べます。黒っぽいのは、ブタの臓物がはいったソーセージ。臓物は苦手なので、これはタムさんに食べてもらいました。そしたら、タムさんから、「お返しの揚げ春巻き」がきました。笑
午後、タムさんから、
「いっしょに、ネイルサロンに行きましょう。」
と、誘われました。
日本を出発する直前、8月28日に、
行きつけのサロン、「Blanc」 で施術してもらったネイルは、
4週間になるのに、まだ健在です。
中国人オーナーの白さんが、
「ベトナムで自慢してね!」
と、特別サービスで盛ってくれたネイルです。笑
「たぶん、まだもう少し大丈夫です。
でも、サロンの場所をおしえてください。」
と言って、タムさんについていくことにしました。
家から歩いて数分。市場の隣りにあるネイルサロン、Dung Diamond。
日本のサロンと違って、デスクがありません。
タムさんがお願いする「ワンカラー」は、500円だそうです。安い!
せっかく外に出たので、
ついでに、近所を歩いてみました。
家の前の歩道で、大量の魚を揚げている女性。
女性の後ろには、レンガとセメントで仕切り、水場として使っている部分が見えます。さらにその後ろには、植木を並べて、通行を遮断しています。しつこいようですが、ここは歩道。公道です。
揚がった魚から、手早く骨をとり、ザルの中へ。
まだまだ、こんなにたくさん揚げるんです。
女性から、「ニイハオ」と言われたので、
しっかりと答えました。
「ニャッバーン!」
女性は、ああ、そうだったのね、と、にっこり。
ベトナム語はさっぱりわかりませんが、
これだけは、はっきりと言いたくて、
タムさんに唯一教えてもらった、ベトナム語です。
「ニャッバーン(日本人です)!」(笑)
サトウキビのジュース。ネイルのあと、タムさんがお土産に買ってきてくれました。ちょっと甘くて、冷たくておいしい。^^
晩ごはんです。
揚げたてのコロッケ、豚肉の炒め物、千切りキャベツ、小魚の佃煮、スープ(骨付き豚肉、人参、大根、ネギ)。
今日も楽しい一日でした。
(つづく)