MIYO'S WEBSITE - 全盲難聴のんたんの記録と卵巣ガン、そして旅日記。

超未熟児で生まれた後遺症で、全盲難聴(盲ろう)となったのんたん、双子の妹あみちゃんと共に楽しく生きる家族のお話です。
子どもたちは24歳になり、毎日元気に楽しく暮らしています。
卵巣ガンになって思ったことも、少しずつ書き始めました。
ベトナム日記は、
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定年でもベトナム。ハノイで始める、お仕事日記 62 - 居酒屋「祭」(2019年9月22日/22日め)

2019年9月22日 タムさんとふたりの子どもたち。


9月22日


せっかく日本人街にまで来て、
ひさしぶりの日本食を食べようと思ったのに、
どこのお店も、お昼の営業を終了していて、
お昼ごはんを食べそこなってしまいました。


あてもなく、日本人街を歩いていたら、
大通りからちょっとはいったところで、
またもや、日本料理店らしいお店を見つけました。


居酒屋「祭」


お店の前にいた人に、
「まだ、開いていますか?」
と、日本語で訊いたところ、
「どうぞどうぞ。」
と、中に案内されました。


右側の壁に沿って、真新しいテーブルが並んでいます。まだ、オープンして間もないそうです。

左側です。ガラスの内側が厨房になっています。

メニューです。価格はどれも、日本と同じくらいか、それ以下。

親子丼を注文したら、こんなのが来ました。お豆腐といんげんがたくさん入っている、不思議な親子丼。^^ でも、お味噌汁は日本と同じで、だしがきいていて、とてもおいしかった。


イスに座って、メニューを見ていたら、
店内にいた日本人男性・Aさんが、話しかけてきました。
ベトナムに、6年半も住んでいるそうです。


M「ベトナムが好きで、6年半も住んでるんですか?」
A「うーん。住んでるとね、キライになりますよ。」
M「どうしてですか?」
A「ま、いっしょに仕事をしてるとね、いろいろと。」


なるほど。


A「で、鎮国寺からここまで、歩いてきたんですね? 4時間かけて?
  私は、いまだに、鎮国寺に行ったことがないんですよ。
  それ、どのへんにあるんですか?」


地図を開いて、今日歩いてきた道を、説明してみました。
4時間だから、10キロ以上はあると思います。
Aさん、あきれかえって、言葉もないみたいです。(苦笑)


A「…歩くのたいへんじゃないですか?
  ベトナムの道って、歩きにくいでしょう。
  やたらと物が置いてあって。」
M「そうですね。でも、おもしろいじゃないですか。
  家の前の道路で、食器洗ったり、ごはん食べたり、
  将棋さしたり、洗濯したり。
  そんなのが、おもしろくておもしろくて。
  見ていて楽しいから、どんどん歩いちゃうんですよ。笑」
A「・・・・・・・」


もはや、Aさんの理解を越えていたようです(苦笑)。


A「で、ベトナム人の家にホームステイして、
  ベトナム人の会社で働く? ご家族と離れて?
  日系の会社ならともかく、ベトナム人の会社?
  そんなふうにベトナムに住んでる人、聞いたことがないです。
  初めて見ました。」
M「そうですよね。
  若い人ならともかく、年とってますからね。
  珍しいですよね。」
A「いやいや。日本語学校の先生なんかは、同じような年代ですよ。
  だから、年じゃない。
  なんか、楽しそうですね。
M「はい!^^」


それだけは、自信があります。笑


A「でも、すごいですね。よくそれだけ、歩き回れますよね。」
M「特に行先を決めないで、
  地図を見ながら、気ままに歩いてみたいんです。
  そうしているうちに、気がついたらこんなに歩いてて。笑
  だってね。気ままに歩くって、ぜいたくなことですよ。
  駆け足の旅行なら、限られた時間に、ここもあそこもって、
  観光しなくちゃいけないでしょう。
  せっかくベトナムに住んでて、
  ゆっくり歩ける時間があるんだから、
  住んでないとできないことをやりたいんです。
  そう思うと、いくらでも歩けます。
  これ、住んでないとできないことですよね。」
A「いや…。かえってね。住んでると、歩かないものですよ。
  私なんか、もう、めんどくさくなって。」


あ、そうなんだ…。


M「私は、ベトナムに2か月しかいないって思ってるから。
  この2か月を有効に使いたいって思うんですよ。
  それで、歩いてしまうんでしょうね。
  週末に家にいるのが、もったいなくて。
  でも、もしも、1年も2年も住む予定であれば、
  『無理に今日でかけなくても』っていう気持ちに
  なるのかもしれませんね。」


親子丼が来ました。
3週間ぶりの、日本食。
考えてみたら、日本人と、
こんなに長く日本語で話すのも、久しぶりです。^^


親子丼は大盛り。
お味噌汁が、本当のお味噌汁の味で、
うれしかった。^^
これで、520円くらい。
良心的です。^^



ひさしぶりの日本食。
おいしかったんです。
でもね…。
タムさんのごはんの方がおいしいって、思った私。
やばいです。
ベトナム中毒、始まっているのかも。笑


このときにAさんに言われたことがきっかけで、
私は初めて、「ベトナムの歩きにくい歩道」を、
意識するようになりました。


たしかに、みんなひどい。笑
他人の迷惑なんて、考えていません。
歩道が歩道になっていないのです。
いたるところに物が置いてあって、
障害のある人は、とても困ると思います。


私がそれを見ても腹がたたないのは、
たぶん、自分が当事者だと思っていないから。
自分は、ただの傍観者。
ほんの少し長めに滞在するけど、
やがては日本に帰ってしまう。
だから、「おもしろい」と思えるのかもしれません。


Aさんのように、
「自分がずっと暮らす国」になってしまえば、
やはりいろんなことが気になって、
いやになってくるのかもしれません。


テーブルにイスにパラソル。しっかり営業していますが、ここは歩道。公道です(苦笑)。

お米屋さん。20種類以上の穀物を並べていますが、これは歩道。本当の店舗内は、ただの倉庫と化しています。

これも歩道。ニワトリの放し飼い。笑 左右にバイクを停めて、人が通れないようになっています。確保されたスペースで、ニワトリさんたちが我が物顔。

衣料品屋さんと荒物屋さん。どちらも、歩道の縁石ぎりぎりまで、売り物を並べています。人間さまは車道を歩くことになります。

さて、ローさんに教えられたバス停に着きました。ここから1時間かけて帰ります。


帰りのバスでは、車掌さんに、
「**の停留所で降ろしてください。」
と、ベトナム語で書いた紙を、
必ず見せるようにしています。


すると車掌さんは、それを覚えていてくれて、
必ず、自宅近くの停留所で降ろしてくれます。


でも、何度か同じバスを利用したので、
このころには、バスを降りるタイミングを、
覚えてしまっていました。


「そろそろ降りる場所なのに、
 今日の車掌さん、おしえてくれないな…。」


おかしいな、と思って、車掌さんを見たら…。


車掌さん、爆睡していました。笑


夜は、外食です。
タムさんが、
「MIYOさん、今日は、アヒルを食べに行きましょう。
と。
アインちゃん、ノックちゃんといっしょに、
4人ででかけました。
ローさんは、今日も泊りがけの仕事で、いません。


アインちゃん、ノックちゃんといっしょに歩く、タムさん。

アヒル料理のお店に到着。

これまた、歩道で盛大に営業中。爆

アヒルくんがぐるぐる回りながら、焼かれていました。

テーブルの上の調味料類。

タムさんが、飲み物を買ってきてくれました。お砂糖入りの緑茶です。おいしいんですけどね(苦笑)。

今日の夕食です。アヒル肉入りのお粥と、ローストダック。

アヒルが大好きなノックちゃん。半分以上を、ひとりで食べてしまいました。すごい!


お店は、たくさんの家族連れでにぎわっていました。
朝食も夕食も、家族そろって屋台で食べるのは、
ベトナムでは珍しいことではありません。
でも、ふと、気づきました。
「お父さん」がいっしょにいないのは、
私たちのテーブルだけだ、と…。


ガイドの仕事で、ローさんの帰宅時間は不規則です。
帰宅しないこともあります。
なので、夕食は、
私たち4人だけで食べることがほとんどです。


私がこの家に来るまでは、
タムさんがひとりで、
ふたりの子どもたちとがんばってきたんだな…。


そう思ったら、なんとなく、
タムさんの寂しさが伝わってきました。
もちろんタムさんは、
そんなことを口に出したりはしません。
私が勝手に、そう感じただけです。


「タムさん。今は、私がいっしょだよ。
 短い間だけど、私がいっしょだからね。」


3人の後ろ姿に、心の中で話しかけながら、
私も後をついて歩きました。



(つづく)

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