骨折でもイタリア。シチリアを歩く、9泊10日のおトク旅 63 - 320段だそうです(2019年1月26日/9日め)
2019年1月26日 バチカン市国。
1月26日
クーポラ内部で、モザイク画の数々を堪能したあと、
「320段階段」の入り口へ向かいました。
細くて暗い通路を歩きます。
ここが、階段の入り口です。(画像をお借りしました。)
さっきまでの、豪華絢爛なクーポラ内部と比べると、
びっくりするくらい質素な階段です。
いったい何百年使われてきたのかわかりませんが、
石の階段のひとつひとつが、長年の間に摩耗し、
真ん中部分が磨り減っているのが見えます。
う~ん。
カルタジローネのタイル階段が130段でしたから、
その2倍以上ですね・・・。
やれやれ、最後の最後まで、階段かぁ・・・。
と、ぼやいていても始まらないので、
上ります。^^
(画像をお借りしました。)
延々と続く階段。
ご覧のように、
人ひとりがようやく通れるくらいの、狭さです。
その上、自分の後ろからも、
ときどきですが、他の人が上ってくるので、
うかうかと休んでいることもできません。
しまった。
このとき、ようやく気がつきました。
もうやめよう、と思っても、
この階段、引き返せないんです。(爆)
この階段は、「上り専用」。
下ることはできません。
途中でやめて、降りたくなっても、
あとからあとから、人が上ってきます。
階段は狭いので、
その人たちとすれ違いながら、
下へ降りていくことは、できません。
自分のあとから上ってくる人たちを待たせないためには、
自分も、どんどん先へ進むしかないのでした。
そのうえ、階段は、クーポラの形に沿って作られているので、
上れば上るほど、狭く傾いていきます。
つまり、上に行けば行くほど、
上がりにくくなるんです。泣
後ろを振り向くと、自分のあとに上ってくる人が見えます。これは、とうてい、引き返せる状況ではありません(苦笑)。
下の写真で、階段の手前の部分が、L字型になっています。ときどき、こういうスポットが作られていました。このL字型の部分では、端の方に自分の体を寄せて、後から来る人に、「お先にどうぞ」と言ってやり過ごすことができます。ほんの少しだけ休憩できる、貴重な場所でした。(画像をお借りしました。)
えらいところに来てしまった、と思いましたが、
あとのまつり、です(爆笑)。
こうなったら、やったろうじゃない。
うぉぉぉ~。MIYOの気迫に、夫のカメラを持つ手が震えたのか、写真がぶれています。笑
壁が斜めに傾いた狭いスペースに、かろうじて作られている階段を、よいしょ、よいしょ、と上がりました。
「あとどれくら~い?」
「ん~ あと、200段くらいかな~」
などと、訊くだけ悲しくなるような会話を繰り返しながら、
上ります。
ひたすら、上ります。
上に上がれば上がるほど、
階段はより狭くなり、カーブもきつくなってきます。
最後は、らせん階段です。
これがまた、延々と続きます。
本当に、人ひとり分がやっとというくらいに、
階段の横幅が狭くなり、
松葉杖をつくスペースもない状態でした。
しかたがないので、自分の前に杖をついては、
その杖にしがみつくようにして、
一段一段を上がりました。
うんしょ、うんしょ・・・。自分の前に杖を突き立て、その杖にしがみつくようにして上がりました。
そして・・・。
着いた? ここで終わり? ほんと?
終わりです。
一番上に、着きました。^^
そのとき、
階段を上がりきったMIYOの目の前にあったのは・・・。
どんっ
ローマでした・・・。
はるかかなた、
地平線の先の先まで、
ローマが続いていました。
ここで、今、私達がどのへんにいるのかを、
もう一度見てみましょう。
場所は、サン・ピエトロ大聖堂の、クーポラ部分です。
サン・ピエトロ大聖堂の、上の丸い屋根の部分が、クーポラです。
このクーポラの内側を、エレベーターと階段で、
上へ上へと、上がってきました。
その、いちばん上の部分。
つまり、クーポラの上に、
さらに王冠のようなものがあります。
下の写真では、
その王冠の根元に、鉄柵がはりめぐらされているのが、
見えます。
私たちは、今、
その鉄柵の内側に立っているのです。^^
下の写真だと、もう少しわかりやすいですね。
クーポラの上にある王冠のような部分が、ライトアップされています。
この、ライトアップされている部分が、私たちのいる場所なのです。
(画像をお借りしました。)
…ということで、
さきほどの、バチカン全景写真でみると…。
ほんのちょっとの時間を利用して、
バチカンの見学に来たつもりでした。
なのに、まさか、ローマを一望できる場所に立とうとは・・・。
それに、ここ、
サン・ピエトロ大聖堂の、てっぺんですよ?!(苦笑)
思いがけない展開に、ぼうぜんとしていると、
私のとなりで、中国人らしき女性が、電話をかけ始めました。
「**ちゃん、いい子にしてる?
ママはね、今、ローマにいるのよ。
すごい景色よ。
これがローマ。
どう? 見える? きれいでしょう?」
なぜだか、こういうときは、中国語でも、理解できるんですよね。^^
どうやら、バチカンのてっぺんから、
中国にいる彼女の娘に、
テレビ電話をかけているようです。
女性は、スマホのカメラを柵の外側に向け、
ローマの景色を見せようとしていました。
そのスマホの画面に映る、女の子の幼い顔が、見えました。
こういう時代なんだな・・・。
再び、鉄柵の向こうに目を向けました。
眼下に広がるローマの街を、はるかに眺めながら、
大きく深呼吸しました。
ここが、この旅の、最後の場所でした。
(つづく)