MIYO'S WEBSITE-全盲難聴のんたんの育児記録と卵巣ガンで思ったこと

超未熟児で生まれた後遺症で、全盲難聴(盲ろう)となったのんたん、双子の妹あみちゃんと共に楽しく生きる家族のお話です。
子どもたちは21歳になり、毎日元気に楽しく暮らしています。
卵巣ガンになって思ったことも、少しずつ書き始めました。

のんたんの冬日記⑩ わがままな長男です^^(6月19日)

2018年5月2日 アジアンオールドバザールで。(全盲難聴・のんたん 22歳)



今回の帰宅では、S園からの行きと帰りで、おひとりずつ。
あわせておふたりのボランティアさんに、
移動を介助していただきました。


たまたま今回は、その両方で、長男がすこしだけわがままを言いました。
初日のイナガキさんには、「着替えの袋を持ちません。」と言い、
翌日のヨリさんには、「マックじゃなくて、ハンバーグ!」と。
今回は、そのことについて、お話ししたいと思います。


盲ろうの長男を育てるにあたって、
私たちがとても気をつけたことのひとつに、
「長男の主張を大切にする」
ということがありました。


盲ろうの子どもというのは、見えない、聞こえないわけですから、
周りの人に助けてもらわないと、状況がわからない、
ということが多いです。
したがって、ややもすると、
「なんでも、他者に頼る」というふうになりがちです。


そしてそれは、
「なんでも、他者から言われたことに従う」
ことにつながり、やがて、
「言われたとおりにやっていればいいんだ。」
と考えるようになります。
こわいのは、
「自分がなにかを言っても、
 結局は、相手の言うとおりにするしかないんだ。」
と思ってしまうことです。


その結果、「自分で考える」ことをやめてしまい、
「なんでも、言われたことにしたがい、
 自分で考えようとしないこども」
になってしまうおそれがあります。
つまり、「指示待ちの子ども」ですね。


「長男がそうなってしまわないように」
「長男の気持ちを大切にする」
という思いは、
いつも頭の中にあったような気がします。
見えなくても、聞こえなくても、
誰かに助けてもらいながら、状況を理解し、
自分で考えることができる人になってほしい。
そんなふうに思っていました。


ありがたいことに、長男は、小さい頃から、
たくさんのすばらしいボランティアさんに恵まれました。
当時の長男は、うまくことばがしゃべれませんでした。
そんな長男に、どのボランティアさんも、
頭ごなしに言うことを聞かせようとはしなかったのです。


ボランティアのみなさんは、
「こちらが言うとおりにさせよう」と考えることなく、
「こちらの言うことをわかってもらおう」とし、そのうえで、
いつも、長男が言おうとしていることを懸命に読み取り、
長男の気持ちによりそってくださったのです。


私が、そうお願いしたわけではありませんでしたが、
なぜか、みなさん、そうしてくださったのです。
誰もが、長男といっしょに過ごす時間を楽しみ、
長男の心によりそってくださいました。


初日、S園から来る途中で、
長男は、着替えの入った袋を、
ボランティアのイナガキさんに渡してしまいました。
けれど、イナガキさんは、
「自分のものは自分で持ちなさい。」
などと、いきなり言い聞かせたりはせず、
どうしてそうなのか、と、考えてくださいました。
そのうえで、
「いつもと違うものが入っていたから、気になったようです。」
と、長男の気持ちに寄り添ってくださいました。


ここで、長男の代わりに荷物を持ち続けるか、
それとも、説得して長男に持たせるかは、
どちらでも良いのだと思います。


大切なのは、どうして長男がそんな行動をとったのか、
そのときの長男の気持ちを、汲み取ろうとしてくださったことです
そのことに、頭がさがる思いでした。


翌日、S園に戻るときも、私は、ボランティアのヨリさんに、
「マックでポテトでも食べさせてください。」
とお願いしてありました。


ヨリさんは、そのとおりに、マックへ行こうとしたのですが、
長男は、「ハンバーグが食べたい!」と言いはったとのこと。(汗)


ヨリさんは、その気持ちに寄り添ってくださいました。
長男といっしょに、レストランを探し、
ハンバーグを食べさせてくださったのです。


なんでも、出されたものをだまって食べるのではなく、
「ボクは、今日は○○を食べたいんだ。」
と言えること。
つまり、ことばがおぼつかなくても、
自分はどうしたいのかを、
相手にきちんと伝えられること。


私たちが長男を育てるにあたって、
長男にのぞんでいたことは、それでした。


ですから、
「着替え持ちたくない事件」でも、
「ハンバーグ食べたい事件」でも、
ボランティアさんに申し訳なく思いつつも、
長男が、自分の気持ちをしっかりと表現できたことを、
うれしく、ほほえましく感じてしまうのです。


盲ろうという障害の人が、生活していく上で、
とてもたいせつなことは、
「状況を理解し、自分の意思で選び取っていくこと」
だと思います。
見えない、聞こえない人にとって、
これは、なかなか難しいことだし、
自分ひとりでできることではありません。


長男は、1歳のお誕生日に、共同保育所に入所し、
その後、認可保育園、学童保育クラブ、学校、
そして、のべ何千人ものボランティアさんのお世話になりながら、
今では、S園で、毎日楽しく生活しています。


それぞれの場面で、
いつも、たくさんの方々に助けていただいたことが、
今につながっています。


現在の長男が、
「自分の気持ちを表現できる子ども(人)」
になりつつあることを、
折に触れて、感じています。
そしてそのことを、
親として、とてもうれしく思っています。


これからも、長男が、
「状況を理解し、そのときどきで、
 自分の意思で選び取っていく人生」
を、歩んでいけるように。
そう願ってやみません。


(おわり)

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