快気祝いのタイ10日旅 6 王室御座船博物館④ クルットヘーンヘット号、スパンナホン号(写真)とナーラーイソンスバン ラーマ9世号(2024年7月5日/2日め)
2024年7月5日 王室御座船博物館で、ナーラーイソンスバン ラーマ9世号と。(タイ・バンコク)
7月5日(金)- 2日め
王室御座船博物館に来ています。
ここまでに、
アスラワーユパック号(護衛船)
アナンタナーカラート号(御座船)
アネーカチャートプチョン号(御座船)
…と見てきました。
次は、4隻めになります。
④クルットヘーンヘット号(Krut Hoen/เรือครุฑเหินเห็จ):護衛船
船首像は神鳥「ガルーダ」(ヴィシュヌ神の乗り物)で、両手にナーガを掴んでいます。ラーマ1世時代に造られましたが、第二次世界大戦の爆撃で損傷し、1968年に造り直されたものです。
長さ28.58m、幅2.10m、高さ0.56m。
乗員は、士官1名、漕ぎ手34名、指示者2名、通常旗手1名、信号手1名、位置測量士2名。
クルットヘーンヘット号です。
船首で気炎を吐くガルーダ。
真下から見るとこうなります。美しい衣装をまとったガルーダです。
横から見たところ。船体の花模様が美しいですね。
チャオプラヤー川を行くクルットヘーンヘット号。(画像をお借りしました)
ここまでに見てきた4隻の船たちです。手前から、クルットヘーンヘット号(護衛船)、アネーカチャートプチョン号(御座船)、アナンタナーカラート号(御座船)、アスラワーユパック号(護衛船)と並んでいます。
⑤スパンナホン号(Suphannahong/เรือพระที่นั่งสุพรรณหงส์):御座船(国王専用船)
前国王即位60周年を祝う御座船パレードで実際に使用された、国王専用のきらびやかな御座船です。全長約45mで、57人の漕ぎ手によって漕がれました。また、船首には、神話上の白鳥が彫刻され、中央には国王や王妃用の玉座が設けられています。スパンナホンという船はアユタヤー時代には既に登場しており、現在の船体はラーマ6世の時代に完成しました。荘厳美麗で、玉座を擁するに相応しい威厳が感じられる船です。
この、王室御座船博物館の中で、
最も重要な船のひとつで、
目玉とも言える船なのですが、
たいへん残念なことに、
5番めのドックはカラになっていました。
どうやらメインテナンス中だったようです。
こんなパネルが残されていて…、
船体中央部のパビリオン(玉座)だけが展示されていました。この中に国王の玉座があり、仏像も安置されました。長さ2.10m、幅1.60m、高さ6.35m。
これはMIYOが撮った写真です。
でも夫が撮ると、なぜかこうなる…。🤣🤣
見学できたのはパビリオン部分だけでしたが、その台座だけでも、すごい装飾でした。
この雄姿を見ることができなかったのは、痛恨の極み…。
船首の白鳥像は、ブラフマー神の乗り物でもある神鳥「ホン」です。
白鳥の船首、見たかったなあ…。
と、残念でしたが、
ないものは仕方がないので、
「また来ればいいよね。」
…ってことで、次に向かいました。😔
⑥ナーラーイソンスバン ラーマ9世号
(Narai Song Suban H.M. King Rama IX/เรือพระที่นั่งนารายณ์ทรงสุบรรณ รัชกาลที่ 9):御座船
勇壮で絢爛豪華な意匠です。船首像は、神鳥ガルーダに乗るヴィシュヌ神(ナーラーイ神)です。ナーラーイソンスバン号は、ラーマ9世(プミポン前国王)により建造され、スパンナホン号と共に最も重要な御座船のひとつです。
長さ44.30m、幅3.20m、高さ1.10m。
乗員は、士官2名(船首と船尾)、漕ぎ手50名、指示者2名、通常旗手1名、王室旗の旗手7名、信号手1名、楽隊1名。
ナーラーイソンスバン ラーマ9世号です。先頭で気炎を吐くガルーダの背中に乗っているのは、ヒンドゥー教の三大神のひとり、ヴィシュヌ神。
豪快なガルーダと、ちょっと小型でかわいらしい感じのヴィシュヌ神。^^
ヴィシュヌ神を後ろから撮ってみました。
後ろから撮った写真をよく見ると、ヴィシュヌは4本の腕を持っていることがわかります。それぞれの手には、異なるものを握っています。
上の左手:ほら貝(パーンチャジャニヤ)
上の右手:回転する円盤(スダルシャナ・チャクラ)
下の左手:神聖な蓮(パドマ)
下の右手:こん棒(カウモーダキー)
ちなみにこれは、インドで描かれたヴィシュヌ神。たしかに、ほら貝、回転する円盤、神聖な蓮、こん棒を握っています。🤣🤣
次は船体を見てみます。さすが御座船。船体の装飾も見事です。
夫が接写した写真。
正面下側から見上げたところです。
そして反対側です。「進め~。」という、ヴィシュヌ神の声が聞こえてきそう。😄
船体中央部のパビリオン(玉座)。
船尾です。その右に見えているのは、スパンナホン号のパビリオン(玉座)。
以前、カンボジア・アンコールワットで見た壁画です。ここにも、ガルーダに乗って阿修羅と戦うヴィシュヌ神が描かれています。
そのときの日記です。
ベトナム・カンボジアを歩いた14日間 39 - アンコールワット⑫ 第一回廊(アムリタをめぐる、神々と阿修羅の戦い)(2024年1月17日/6日め)
ヒンドゥー教の神々の乗り物は、
ヴァーハナと呼び、
それぞれの神ごとに決まっているので、
乗り物を見れば、その神の名前がわかります。
なので、この御座船で、
「ガルーダに乗っている神はヴィシュヌ神」
ということになります。^^
この「ヴァーハナ(乗り物)」についての話は、
アンコールワットに行ったときに、
初めて学んだことでした。
現在のタイは仏教国ですが、
国王が乗る御座船の彫刻には、今も、
ヒンドゥー教の世界が息づいているのだな、
とうれしくなりました。
世界各地を歩いていると、
以前に訪れた地で見たものが、
現在旅している地の思いがけないところで
つながっていることがあります。
それに気づくこともまた、
旅をする醍醐味のように思います。
チャオプラヤー川を豪快に走る、ナーラーイソンスバン ラーマ9世号。
荘厳な船体と雄々しいガルーダ。そして、どこかかわいらしいヴィシュヌ神。
カンボジア・アンコールワットの
壮大な神話を思い出させてくれた
ナーラーイソンスバン ラーマ9世号は、
王室御座船博物館の中で、
私のいちばんのお気に入りになりました。
なお、館内には、
このナーラーイソンスバン ラーマ9世号の
前身となった船の一部も展示されています。
初代ナーラーイソンスバン号(Narai Song Suban/เรือพระที่นั่งนารายณ์ทรงสุบรรณ)の船首
西暦1281年から1325年(タイ歴1824年から1868年)に建造されました。ナーガの装飾を施されたガルーダは、ナンクラオ王(ラーマ3世)の時代に造られたもので、ナーラーイの像は、モンクット王(ラーマ9世)の時代に取り付けられました。この船首は、現在のナーラーイソンスバン ラーマ9世号の原型となりました。
幅1.70m、高さ2.80m。
ドックを埋め尽くす、王室御座船たち。
広いドックの中に横たわる、ナーラーイソンスバン ラーマ9世号。次回は、その隣りにある、グラビープラープムアンマーン号を見ます。
(つづく)