コロナでも雛旅。古(いにしえ)の雛を訪ねる、4泊5日の長野・岐阜・愛知 28 - 食品サンプルと福よせ雛(2021年3月28日/3日め)
2021年3月28日 郡上八幡・博覧館で。(岐阜県郡上市)
3月28日
郡上八幡の「博覧館」に来ています。
東常緑(とうつねより)と宗祗(そうぎ)の像です。東常緑は、郡上の領主であり、歌人としてもしられていました。1471年、のちに連歌の大家となった宗祗に、古今和歌集の秘伝の解釈を伝えました。その後、宗祗が帰京する際に、東常緑は、「もみじ葉の流るる竜田白雲の花のみよしの思ひ忘るな」という一首をはなむけに詠ったと伝えられています。
ひときわ高くそびえる高賀山を神と崇めて信仰の対象とし、厳しい修行の場としたことで生まれた高賀山信仰は、千三百年以上の歴史を積み重ねて現在に至り、今も多くの人々の心を癒し続けているそうです。
ここまでは、「水」「歴」をキーワードに、
展示を見てきました。
最後のキーワードは、「技」です。
「技」のコーナーでは、
郡上竿や郡上ダモといった農村の技から、
町場の工芸品、現代の技術、
そして郡上の芸術家のアート作品まで、
幅広く展示しています。
これがまた、内容充実で、
とても楽しいコーナーでした。^^
人間国宝の故・宗廣力三氏の「郡上紬」をはじめ、県重要無形文化財の渡辺庄吉氏の「郡上本染」を見ることができます。(画像をお借りしました)
郡上本染(藍染め)の工程です。
郡上鮎は日本一と称されています。清流長良川や城下町を流れる吉田川で使われる釣り道具の数々も、美しい伝統工芸品です。嶋数男氏の釣道具「郡上びく」などの伝統工芸品が展示されています。
そして、ひときわ驚いたのは、
「現代の技」でした。
伝統工芸品が続いたあと、
展示は突然、
食品サンプルのコーナーに変わります。
はじめは、
「館内に食堂があって、
そこのサンプルを紹介しているのかな」
と思いました。
でも、下の写真を良く見ると、
ハンバーグのサンプルを作る手順を
紹介しています。
どうしてこんなところに
食品サンプルがあるのか、と言うと、
食品サンプルの事業化に初めて成功した、
「食品サンプル王・岩崎瀧三氏」が、
郡上市の生まれだから、なのです。
ハンバーグができるまで、を紹介しているサンプル。右端は、実物にシリコーンをかけて型どりしているところです。その後、型に液状の樹脂を流し込み、オーブンで焼き固めます。
食品サンプル王・岩崎瀧三氏。彼のお写真がなければ、食堂の入り口かと思ってしまいます。笑
故岩崎瀧三氏は、1955年、故郷の役に立ちたいと郡上八幡に岐阜工場を建設しました。彼が興した岩崎模型株式会社は、現在、東京、大阪、郡上八幡に、岩崎グループを作り上げるほどの産業になっています。
むかれた皮が、八朔を運んでいます。笑
食品サンプルを自分でも作ってみる、
体験教室もあるのですが、
今はコロナ禍で、
中止になっているようです。
次の展示は、「郡上 昔々の雛まつり」でした。
【郡上・昔の雛人形】
現在は、布製の衣装を着た雛人形が主流でしが、ひと昔前の農山村部では、土雛を飾るのが一般的でした。が、昭和30年(高度成長期)頃を境に、現在主流の段飾り雛を飾る過程が増え、土雛を飾る風習は薄れていきました。博覧館では、郡上の旧家の蔵に眠っていた、明治・大正・昭和期の貴重な土雛約106体を、一同に集めて展示しています。
人形の種類は、内裏雛、天神様、福助、金太郎、大黒・恵比寿様、歌舞伎人形、高砂人形など、多種多様な土雛が存在しています。それぞれの人形には、子どもの成長を願う心や時代背景などが反映されていました。たとえば、天神様は、学問の神にちなんで、入学祝等で送られたものです。また、歌舞伎人形は、その時代に流行した演目にちなんだ人形が作られました。
なお、桃の節句の時期に端午の節句の武者人形を同時に飾ったのは、5月が農繁期で忙しかったからであろうと言われています。
フクスケ人形が、ここにもありました。滋賀県で見た、近江小幡でこ人形とよく似ています。^^
滋賀県・五箇荘で見た、近江小幡でこです。(2020年9月24日)
フクスケ人形は、群馬県の「かやぶきの郷 薬師温泉 旅籠」にもありました。^^(2020年11月13日)
最後の展示は、お雛さまでした。
毎年恒例になっていて、
今の時期だけ展示される、
「福寄せひな」だそうです。
この何倍もある広いスペースに、ぎっしりと、お雛様が飾られています。すごい人数です。でも、このお雛様、よく見ると、普通のお雛さまではありません。
おわかりでしょうか。みんなで、郡上踊りを踊っているのです。爆
この時期だけに展示されていた、
「福よせ雛」。
驚いたのは、これだけではありませんでした。
(つづく)