コロナでも雛旅。古(いにしえ)の雛を訪ねる、4泊5日の長野・岐阜・愛知 10 - 江戸時代の「提重(さげじゅう)」(2021年3月27日/2日め)
2021年3月27日 「田中本家」の主家。座敷で、お茶をいただきました。MIYOの後ろに飾ってあるのが、「提重」です。(長野県須坂市)
3月27日
ずっとあこがれ続けた、
田中本家の玄関を入りました。
玄関の右手に、入館料を支払うところがあるのですが、ここは素通りします。
「江戸時代再現料理会食会」の案内にしたがって、奥に進みました。
玉砂利を踏みしめて歩きます。
庭の奥に、「初代新八翁の碑」があります。この場所から、初代が商いを始めました。そしてその後、少しずつ広がっていき、現在の3000坪にまで至ったそうです。石碑のさらに左にあるのが、主家でした。
田中本家博物館の主家です。博物館となる前は、田中家の皆さんが住んでおられました。ここは、通常は非公開になっています。
主家の玄関です。
玄関に受付があり、会食会の参加費を支払いました。
参加費には、博物館の入館料(900円)も含まれています。
検温と手指の消毒をしたあと、庭に面した座敷に案内していただきました。本日の参加者は、11名だそうです。
お庭は、1780年代(天明年間)に作庭された、池泉回遊式庭園です。左手の四角い台のような石は自然石で、表面に独特の模様を呈しています。模様のある天然の一枚岩を遠方から運ばせたという、贅沢なつくりです。庭園には、樹齢約250年の大カエデと、樹齢200年余の3本のしだれ桜があり、紅葉と桜の名所になっています。ちなみに、庭園は、春庭、夏庭、秋庭の3つがあり、季節ごとに、楽しむ庭が変わります。
お茶とお菓子をいただきました。
そして、第12代当主・田中宏和さんがいらっしゃいました。
ご挨拶のあと、話題は、床の間に飾ってあったお道具に…。これは、江戸時代に使われていたものです。重箱やとっくりが収められている「お弁当箱」で、「提重(さげじゅう)」と呼ばれます。
【提重】
漆器の弁当箱は、安土桃山時代に作られるようになったと言われ、鷹狩りや茶会、花見の宴などの野外行事の際に使われました。江戸時代になると、大名をはじめとした富裕な人びとが、重箱や徳利、酒器、取り皿がセットになった「提重」を野遊びに持参するようになります。それに従い、「弁当箱」は、贅を尽くした豪華なもの=工芸品・美術品になっていきます。この「提重」を用いた“大名弁当”は、それを代表するものと言えます。
たとえば、これは、「黄石公張良金蒔絵提重箱(こうせきこうちょうりょうきんまきえさげじゅう)」と呼ばれるもので、新宿歴史博物館で、平成24年に期間限定で展示されたものです。絵柄が違いますが、造りはそっくりですね。(画像をお借りしました)
その貴重な工芸品である「提重」が、田中本家の床の間に飾ってあったのですが…、
ご当主、中に収められていたものを、ひとつひとつ取り出されました。そして…、
「さ、どうぞご覧ください。
これまでは、床の間に、
ただ飾っておくだけだったのですが、
今日はせっかくですから、お手にとって、
どうぞ間近でご覧になってください。」
えっ…。
こんな貴重なものに、
触っていいんですか?
ほんとに…?😅😅
のっけから、びっくりの展開でした。
(つづく)