MIYO'S WEBSITE - 全盲難聴のんたんの記録と卵巣ガン、そして旅日記。

超未熟児で生まれた後遺症で、全盲難聴(盲ろう)となったのんたん、双子の妹あみちゃんと共に楽しく生きる家族のお話です。
子どもたちは24歳になり、毎日元気に楽しく暮らしています。
卵巣ガンになって思ったことも、少しずつ書き始めました。
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コロナでもウクレレ。全盲難聴・のんたんのウクレレ発表会 1 - こういうときだから(2020年10月12日)

2020年11月22日 ウクレレ発表会で演奏。(全盲難聴・のんたん 25歳)


10月12日


コロナが感染し始めた、今年の2月末、
長男が生活しているS園からは、
「すべての外出・面会は控えてください。」
というお願いがありました。
当時としては、当然のことでした。


そこで私たちも、週末の帰宅はもちろん、
毎月2回の外出(ウクレレレッスン)も、
すべて中止しました。
そして、7月の夏まつりまで、
実に半年ものあいだ、
長男とは会えなくなってしまいました。


現在のS園では、
外出も面会もOKになっています。
それでも、長男がむやみに外出したら、
万が一、どこかで感染することが、
ないとはいえません。


私たち家族だけの問題ではありません。
コロナウィルスを園に持ちこんで、
みなさんにご迷惑をかけることだけは、
あってはならない…。
そう思うと、長男の外出も外泊も、
短時間のん面会であろうと、
「今はやめておこう。」
と、思わざるを得ませんでした。


そんなわけで、ウクレレのレッスンは、
2月からずっと、9か月間も
お休みしているような状況になっていました。
毎年6月に開催しているウクレレ発表会も、
開催自体が、中止となりました。


10月12日のことです。
ウクレレ教室のムラタ先生から、
メールが届きました。


「過ごしやすい季節になりました。
 ご家族のみなさまお元気でしょうか。
 早速ですが、
 11月22日(日曜日)に、
 発表会をすることにいたしました。
 コロナのこともあり、大変迷いましたが、
 シチズンプラザが来年1月に閉館することもあり、
 かたちだけでもと決めました。
 本当に急なのですが。
 ご都合がよろしければ、
 是非、のぞみくんに演奏していただきたく、
 ご検討のほど、
 よろしくお願いいたします。」


この、コロナ禍での、ウクレレ発表会です。
例年、50人くらいの方が出演され、
中ホールは、訪れた方々でいっぱいになります。
そんなところに、
長男を連れて行っていいものか…。
悩みました。


夫は、
「無理だな。お断りしよう。
 会場でウィルスをもらって、
 S園に持ち帰ったら、
 みんなに迷惑がかかる。」
と。
でも、私の考えは、違っていました。


「以前とは違うでしょ。
 今は、どうすれば感染するのか、
 そして、どうすれば予防できるのか、
 だんだんわかってきたよね。
 私たちで、のんたんをしっかり防御して、
 滞在時間も短くすればいいんじゃないの?
 のんたんの演奏が終わったら、
 すぐに失礼するとか。」


夫は、乗り気ではないようでした。
「無理に出なくても…。
 今年だけは、
 欠席にすればいいんじゃないの?」


「ううん。
 今年だから、出演させてやりたいのよ。」


毎年、ウクレレ発表会を開催していた、
その会場であったシチズンプラザが、
もうすぐ閉館されることになったのです。
思い入れのあった会場での演奏会は、
これが最後です。
発表会をやろうと決めた、
ムラタ先生のお気持ちが、
わかるような気がしました。


「出演しようよ。
 発表会にでたら、のんたんはきっと喜ぶよ。
 ウィルスをもらわないように、
 私たちでしっかり守って、やらせてやろうよ。
 私はね。
 こういうときだから、参加したいのよ。
 ムラタ先生への、これまでの感謝の気持ちを込めて。」


コロナだから、と、参加を辞退する生徒さんも、
たくさんいらっしゃることでしょう。
そんなときに、閉館目前のシチズンプラザで、
発表会をやろうと決めた先生のお気持ちに
寄り添いたい…。
私は、そう思っていたのです。


ムラタ先生は、
全盲・難聴の長男に、10年間も、
ウクレレを教え続けてくださいました。
そのご恩を、今はお返しするとき、と。


「…ちょっと考えてみるよ。」


夫も、すぐには決断ができないようでした。


(つづく)


先生といっしょに、出演前の、最後の練習です。

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