ガンになるまでの日々 20 - 腹壁瘢痕ヘルニア(2011年10月)
2008年11月1日 パソコンで点字を打っています。音声ソフトで読み上げ、うまくできると、うれしそうでした。^^(全盲難聴・のんたん 13歳/中1)
2011年10月
自分のお腹にできたものがなんなのか、
わからないままに、3か月が過ぎました。
その次の診察日がやってきて、
私は再び、G研を訪れました。
診察室にはいるなり、B医師が言いました。
「あの件、わかりましたよ。^^」
B医師の説明によると、それは、
「腹壁瘢痕ヘルニア」
というものでした。
【腹壁瘢痕ヘルニア】
腹壁瘢痕ヘルニアとは、開腹手術や外傷後の傷跡(瘢痕)が大きく膨らむ状態のことをいいます。
膨らみは、立った時、咳・くしゃみ、排便時などの腹圧がかかった時に大きくなることが多いようです。腹部の手術の合併症のひとつで、術後10年間で約1割の人に起こるといわれています。
開腹手術では、お腹を閉じる時に、皮膚、皮下組織、筋膜、腹膜を縫い合わせます。しかし、手術後に傷の感染を起したり、術前の栄養状態があまり良くなかったり、もともと筋膜などが薄い人は、筋膜の癒合が悪くなり、隙間(医学用語でヘルニア門と呼びます)が生じます。その隙間から内臓脂肪や腸管が出入りする状態が腹壁瘢痕ヘルニアです。腹壁瘢痕ヘルニアは、自然に治ることはありません。
つまり…。
手術をした後に縫合するわけですが、
お腹の内側で、
その縫合部分が、裂けてしまったのです。
そして、その裂け目から、
腸が飛び出てしまった、という状態でした。。
私のお腹に突然出現したでっぱりは、
縫合部分の裂け目から飛び出した、
「腸」だったのです…。
「…で、どうやったら治るのですか?」
すると、B医師は、こう答えました。
「治りません。
でも、別にこれで
なにか問題が起こるわけでもないので、
ほおっておいていいですよ。
治療はしなくていいですが、
見た目がどうしても気になるようでしたら、
手術をする病院はあります。
病院の紹介はできます。」
はあ…。
予想外の回答でした。
「このままほおっておく。」とは…。
私のお腹にぴょこんと飛び出たコレを、
このままずうっと、放置するんですか…。
お腹を見るたびに悲しいし、
恥ずかしくて、他人に見せられません。
(まあ、見せることもないですが。笑)
私、このお腹のままで、
これから一生、生きていくんですか?
なんか、切ないなあ…。
そのまま、診察は終わってしまいました。
それでも、帰り際に思いつき、
訊いてみました。
「その、手術をしてくれる病院というのは、
どこですか?」
B医師は、私が手術をすると言い出すとは
思っていなかったようです。
「ちょっと待ってくださいね。」
と言って、どこかに行ってしまいました。
そして、診察室に戻ってきたあと、
こう答えました。
「**病院です。」
それ、芸能人が出産とかで利用する、
むちゃくちゃ高いとこじゃないですか…。笑
「別にこのままでかまわない。」
と言われているものを治すための手術で、
いったい何十万円かかるのでしょう…。
手術はムリだな。
…と思いました。
そんなことのために入院して、
また、子どもたちを犠牲にするつもりも
ありませんでした。
なので、紹介状をお願いすることもなく、
そのまま、診察室を後にしました。
今から約10年前の話です。
10人にひとりがなる、と言われているのに、
医療の現場では、問題視されることもなく、
当時は、そもそも、
「腹壁瘢痕ヘルニア」について、
あまり知られていなかったようです。
患者にきかれて、こんなふうに回答する病院が、
多かったのではないかと思います。
私は、お腹のでっぱりを治療することをあきらめ、
その後何年も、
そのまま、放置することになりました。
ですがそれは、実は危険な決断であったことが、
あとからわかります。
ひどい場合には、それで命を落とすこともある、
実はそんな病気だったのです。
けれど、
「ほっておいていいんです。」
と言われたことで、あきらめ、
そのまま放置してしまいました。
そして、あるとき、予約した診察日を、
仕事の都合でキャンセルしてしまい、
それを機に、
G研にも行かなくなってしまいました。
(つづく)
この日は、長女の学校でも作品展があり、両方をかけもちしました。^^
長女の習字、刺し子、手のデッサン。
「愛媛県」と「火山」について調べ、発表したようです。
上:長女の英語。^^
下:長男が描いた絵と紙すきハガキです。絵は、紙に紐を貼りつけ、紐の形に合わせて、色をのせたようです。紙すきハガキは、クラス全員で作りました。
両方の学校をかけもちしながらも、お昼には、夫とおいしいものを食べに行ったみたいです。笑 やってることが、今と変わりませんね。^^